LINEで送る
Pocket

こんにちは!ポケットコンシェルジュ編集部です。

昨今、日本酒が世界的にブームとなっているさなか、それを象徴するコンテストがフランスで開催されました。ワイン銘柄の名誉ある品評会も開催されるフランスで、審査はフランスの有名レストランで働くソムリエやソムリエールが行なうという本格的なコンテストです。今回は、本コンテストにスタッフとして参加された、東京・大門『SAKE Scene 〼福(サケシーン ますふく)』の女将・簗場友何里氏より、コンテストの模様を紹介いただきました。


 

SAKE Scene 〼福:簗場友何里 氏

Pick up topics
1.日本から500種類の日本酒が集まった、第一回「Kura Master 2017」
2.前年より規模が拡大!さらに注目が集まった「Kura Master 2018」
3.『SAKE Scene 〼福』で楽しめる、「Kura Master 2018」金賞の日本酒

 

こちらでは、初めてのコラムのため、まずは自己紹介を少々。え!日本酒ってこんなに美味しかったんだ!という言葉が聞きたくて、海外へ日本酒PRを行なっている、株式会社SAKESceneの簗場と申します。東京・浜松町で、発酵フレンチと日本酒のレストラン『SAKE Scene 〼福(サケシーン ますふく)』を経営しております。こちらでは、日本語を話せない外国人のお客様にも英語で日本酒の蔵のストーリーや魅力、日本酒豆知識などをご紹介し、PRしています。そして、インバウンドを考慮しつつ、アウトバウンドとして、私が応援する蔵元の日本酒を海外でPRし、輸出業務、現地での販路開拓も始めています。

そんな中、昨年6月と今年5月に開催された「Kura Master」へ参加してきました。今回は、本コンテストの様子をご紹介いしたいと思います。

 

500種類の日本酒が集まった、第一回「Kura Master 2017」

 

Kura Master」は、フランス人のシェフソムリエから日本酒のコンテストをフランスでやりたいというご依頼から始まりました。2017年6月が第1回目の開催で、500種類の日本酒を、パリで活躍しているソムリエやワイン醸造家など、約30人ほどの方々に評価していただく形でスタートしました。

審査の前に、審査員の方々に日本からいらした酒造組合中央会の先生などから基本的な日本酒の情報、ワインとの違い、それによるティスティングで重視すべき、香りより味わいが日本酒は主体であるというレクチャーが行われました。私が聞いていても大変勉強になる内容で、とても分かりやすいものでした。

会場は吹き抜けのパリらしいデザインの建物です。その素敵な会場からもコンクールの規模の大きさを感じます。

本コンクールでは、日本酒をワイングラスでティスティングをし、審査をしました。お手伝いされる方も、フランス在住で、和食、星付きフレンチレストランで働くプロのソムリエ、ソムリエールの方々。とても和気あいあいとしたムードで楽しい現場です。

私は、6人の審査員のテーブルに付き、ティスティングのお手伝いをしました。審査員長の『Hotel du Clyon(オテル・ドゥ・クリヨン)』のシェフソムリエであるグザビエ氏のテーブルです。審査前に、「常にワインを選んでいるように、ソムリエは食事との相性を考えてワインを選考する。各日本酒もどれほど食事に合うかを考えながら評価していく」とおっしゃっていました。審査中は、皆さんかなり真剣にスピーディーにティスティングをしていきます。私は、ワインエキスパートの資格を取得しているため、試験前のティスティングレッスンを思い出しました。さすが本場のプロフェッショナルたち。まさに鮮やかな素晴らしいティスティング風景でした。

コメントもどんどんと出てきます。日本酒はデリケートな香りや味わいですが、ものすごく早いテンポで泉のようにあふれ出ます。私もフランス語がもっと聞き取れたら、どのように日本酒を感じるのか分かり、どんなに勉強になったことか。とにかく、審査員の方々はフランスのワイン業界で一流の方々ばかりなので、お話しするのもかなり緊張しましたが、にこやかに和やかな雰囲気でスムーズに審査が運ぶようご協力いただけました。

そうして、一日がかりの審査は終わり、レセプションではパリの和食やフレンチの有名店がお食事を提供し、実際どれほど日本酒がフランスのお料理に合うかを味わいました。フランスの国営放送も取材に来て、メディアもこの画期的な取り組みに、注目していました。

 

前年より規模が拡大!さらに注目が集まった「Kura Master 2018」

 

さて、今年は昨年の評判の高さもあり、規模も内容も拡大されていました。日本酒は、日本からブラインド用の中身が見えないシルバーの袋に入れられ、ナンバリングされてからフランスに輸入されます。フランス側では、どの日本酒かは不明な状態です。今回のエントリー数は、なんと、約650銘柄でした!

すべてこのコンテストのために日本から輸出され、さまざまな蔵が期待を託してエントリーしたのですね。日本酒が並んでいる会場は、フランス・パリでの光景とは信じがたい奇跡の光景に見えました。

そして、それだけの種類の日本酒を審査するために集まった審査員は、昨年の倍近い58人!星付きのフレンチレストランや高級パレスホテルなど、昨年よりもさらに影響力のあるソムリエたちが集まった姿は壮観でした。

日本酒という未知のお酒の手探りの審査から、しっかりと販路に繋げるぞ、という意識の違いがありました。ディスカッションも長く、皆さんの日本酒への向き合い方、意識の高さが感じられました。会場は、冷房完備の水族館のホールでした。トロカデロ付近のパリ中心地にあります。とても広く、涼しく快適な会場で、日本酒を良いコンディションで提供できました。

審査後のレセプションでの有料試飲会もかなりのフランス在住の方があつまり、日本での試飲会さながらの、人々の熱気に包まれていて、そこでもこのコンテストの注目度の高さを感じました。

 

『SAKE Scene 〼福』で楽しめる、「Kura Master 2018」金賞の日本酒

 

今回受賞した日本酒で、SAKE Scene 〼福でもご提供しているものがございます。

〈純米大吟醸&純米吟醸部門金賞〉

「伊予賀儀屋 無濾過 純米 赤ラベル」 成龍酒造株式会社 愛媛県

写真提供:成龍酒造株式会社

地元の飯米「松山三井」を使用した、旨口で米の甘味を感じながら綺麗な余韻が残る日本酒です。優しく丸い味わいが、淡白な白身魚などにぴったりです。『SAKE Scene 〼福』では、甘エビのカダイフ包みに酒粕と発酵クリームのソースに合わせています。その他、お肉料理にまで合わせられる「黒ラベル」、季節ごとの限定酒も常にご提供しています。

 

〈純米大吟醸&純米吟醸部門金賞〉

「宮寒梅 純米吟醸45%」 合名会社寒梅酒造 宮城県

ジューシーな旨味と爽やかさ、綺麗なバランスの日本酒です。冷やしてきりっと飲むのも良いでしょう。当店では、自社栽培の山田錦や夏酒もご用意しています。爽やかな冷製の一皿と合わせていただきたいです。

 

「Kura Master 2018」の受賞酒はこちら

2018年度 受賞酒発表

 

〈イベントを終えて〉

フランスを制すれば世界を制す。フランス人は独自の判断基準があります。そのため、フランスのトップレベルの飲食業の方々が厳しく審査し、認めた日本酒は、世界が注目します。

もちろん、フランス国内でのレストランのワインリストを決めている方々がジャッジするということは、どれほど今後の販路開拓に影響があるのでしょうか。賞を取っても生産量が追い付かなくて、フランスで仕入が難しくても、付加価値を付けて売っていけば良いのだと思います。どれも日本で職人である蔵元さんたちが大切に造った日本酒です。大切により良い形で消費者にPRできることこそが、これからの海外での日本酒の販路拡大につながります。

日本酒の蔵元、フランスでの日本酒に対する意識が合わさらなければ、これほどの盛大なコンテストにはならなかったでしょう。今後さらなる日本酒の海外での活躍に期待が高まるばかり。このコンテストにより、日本酒がもっとドリンクリストに並ぶようになり、食事に合わせてさまざまな日本酒をセレクトできるような情報量と知識がフランスで広がればと思います。

私自身も、家で美味しいフレンチのお惣菜に、フランス人が日本酒をセレクトしてくれるような、身近な存在に日本酒が位置付けられる未来に向けて日々活動していきます。

さてさて、来年はどのようにバージョンアップするでしょうか。ますます目が離せない、海外での日本酒たちの活躍ぶりに期待が大きく膨らみます。

 

【執筆】SAKE Scene 〼福:簗場友何里 氏
【写真提供(特記以外)】SAKE Scene 〼福(サケシーン ますふく)

 

SAKE Scene 〼福(サケシーン ますふく)

日本酒の魅力を、独自の“発酵フレンチ”と共に提供する『SAKE Scene 〼福(サケシーン ますふく)』。酒粕や白味噌など和の素材を組み込むことで、日本酒に合うフランス料理を作り上げる。料理に合わせる日本酒は、常時50〜60種類。酒器にもこだわり、特注した平杯を升の上に置く独自のスタイルで提供。日本酒の奥深さを追求しつつ、“発酵フレンチ”との新しいマリアージュが楽しめ、日本酒ファンのみならず海外のゲストにも喜ばれている。
LINEで送る
Pocket