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2017年11月、株式会社ポケットメニューのアドバイザーとして、レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役兼CEOである本田直之氏に就任いただいた。本田氏は、投資やコンサルティングの事業だけでなく、食の分野でも幅広く活躍しており、国内外のシェフとさまざまイベントを行なっている。今回は、弊社CEO戸門 慶が本田氏に直接インタビューを行ない、アドバイザー就任の背景や今後のレストランの業界について語っていただいた。

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本田直之氏

レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役
ハワイ、東京に拠点を構え、日米のベンチャー企業への投資育成事業を行いながら、年の5ヶ月をハワイ、3ヶ月を東京、2ヶ月を日本の地域、2ヶ月をヨーロッパを中心にオセアニア・アジア等の国々を旅し、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る。これまで訪れた国は60ヶ国、200都市を超える。

毎日のように屋台・B級から三ツ星レストランまでの食を極め、著名シェフのコラボディナーなどのプロデュースも手がける。

著書にレバレッジシリーズをはじめ、「脱東京 仕事と遊びの垣根をなくす、あたらしい移住」、「なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか」、「TraveLife クリエイティブに生きるために旅から学んだ35の大切なこと」、「本田直之のハワイグルメコンシェルジュ」等があり、著書累計300万部を突破し、韓国・台湾・香港・中国・タイで翻訳版も発売。

サンダーバード国際経営大学院経営学修士(MBA)
明治大学商学部産業経営学科卒
(社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイサー
アカデミー・デュ・ヴァン講師
明治大学・上智大学非常勤講師
アミューズ所属

 

Pick up topics
1.ドタキャンや言語の壁の問題を、WEB予約で解決する
2.日本にいながら、世界マーケットを呼び込む時代に
3.異業種のシェフが繋がることで進化する、イベントの可能性

 

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ドタキャンや言語の壁の問題を、WEB予約で解決する

戸門 この度はアドバイザーに就任いただきありがとうございます。今後の方向性なども含め、いろいろとお話できればと思うのですが、まずポケットコンシェルジュに興味をもっていただけた背景からお聞かせください。

本田  僕は、レストランやシェフを応援したいという思いがあって、「なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか」(※1参照)という本や、最新刊「オリジナリティ – 全員に好かれることを目指す時代は終わった」(※2参照)という本を書いたりしているのですが、その中でレストランの予約に関しては、世界的に問題があるなと感じていました。ドタキャンや予約がとれないなど、いろいろんな問題がありますが、特にドタキャンに関しては、ホテルならキャンセル料がかかるのに、レストランは誰も責任を取ってくれない。そういう、レストラン側が弱い問題に対して、なにかいい解決策がないかと前々から思っていたんです。そんな中、ポケットコンシェルジュの存在を知って、面白いサービスだなと。

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※1『なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか』(ダイヤモンド社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

本田_著書2


※2 最新刊『オリジナリティ – 全員に好かれることを目指す時代は終わった』(日経BP社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

戸門 僕が本田さんと出会ったのは2年ほど前になりますが、我々のサービスを知っていただいた当時から応援してくださっていたんですよね。

本田 そうですね。僕がレストラン業界で課題に感じていたことの中で、例えばドタキャンが怖いから海外のお客さんからの予約はとりません、というレストランが出てきちゃうともったいないな、と。ほとんどはまともなお客さんなのに、一部のマナーがあまり良くないお客さんの影響でレストランも身構えちゃって、拒否することもある。でもポケットコンシェルジュのようなシステムがあれば、とくに海外から来て、日本の良いレストランで食事をしたいというお客さんにとっては、ものすごくプラスですよね。レストランをドタキャンから守れるし、お客さんにとっても、レストランにとってもありがたいという面で、すごくいいシステムだなとずっと思っていて。前から応援していましたが、今回こういう話をいただいて、本格的にやらせていただこうかと。

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戸門 ありがとうございます。近年、SNSを含めインターネットが発達したことで、海外の方もより日本のレストランを知ることができて、東京や京都だけでなく地方にも行くことが増えてくると思います。海外のレストランにも数多く足を運ばれている本田さんから見て、こんなサービスがあればいいな、と思うことはありますか?

本田 いまは、とにかく一大レストランブームみたいになっていて、人気の店は予約がとにかくとれない。1年や2年先じゃないと予約がとれません、という状況が、果たして本当にこのままでいいのかな、って思っています。お店もお客さんも、お互い疲れちゃうなって。店側としては、自分の予定が2年先まで埋まっているというのはプレッシャーだろうし。その反面、売上が立つ安心感もあると思うので、どんどん予約で埋めたくなる気持ちもわかる。だけど、シェフが何かの事情で店に立てなくなるという可能性はゼロではないですよね。お客さんは皆、予約がとれないからとりあえず予約をするという状況になっているから、それをなんとか改善できないかなと思っています。最近は、3ヵ月先までしか予約をとらないという人気店も出てきていますが、もしかしたらここ数年で、そういう変化が出てくるかもしれないですね。

あとは、電話予約だと、言った、言わないみたいなことが起こっちゃうから、もっとWEB予約に切り替わっていくんじゃないかなとは思っているのですが、よく聞くのは「WEB予約だとキャンセルが多い」という問題。でもそれは、そこに何のオブリゲーションもないから。なにかそこに責任が発生していれば、ホテルの予約と同じようになっていくはずだから、そういう点でポケットコンシェルジュがもっと普及していかないといけないなと思っています。

戸門 仰る通りで、弊社では海外のお客様はクレジットカードの利用を必須にしているので、ドタキャンは少ないです。実際、海外のお客様の場合、電話やホテルのコンシェルジュ経由だと、言った、言わないの問題が出てきています。例えば、ドレスコードだったり、お子様が来店できない店舗に子どもを連れて来てしまったり、お鮨屋さんで香水つけて来ちゃったり。そのような課題を、ポケットコンシェルジュの場合はオンライン上でお店ごとの規約を立てていて、それをチェックする形になっているので、そういう問題は電話などに比べてかなり少ないと思います。

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本田 海外のお客さんからすると、日本のルールってわかりにくくて、難しいかなと。海外は明文化するのが文化だけど、日本ではなんとなく雰囲気でわかるでしょ、という文化があるから、きちんと文章で起こしてあげてチェックするっていうのは必要ですよね。僕は、海外からもっとたくさんの人に日本に来てもらいたいし、日本を楽しんでもらいたい。だから、ポケットコンシェルジュがレストラン選びの手助けになればいいなと思います。

日本にいながら、世界マーケットを呼び込む時代に

戸門 本田さんが本にも書かれていたように、最近は海外でも日本人シェフが活躍していますよね。日本もどんどんグローバル化しているなかで今後生き残っていくためには、モチベーションだったりオリジナリティだったり、どういう部分が料理人として大事なんでしょうか。

本田 料理人は、オリジナリティがないと生き残っていけない、というのは間違いない。その傾向は、海外のほうがより強いですよね。誰々の料理だってわかるものじゃないと、お客さんも店に来てくれない。あまりにオリジナリティが突出していると、日本だったら「これどうなの?」って思われちゃう料理でも、海外では「オリジナルでいいね」って評価になるのが面白いですね。海外ではもっと突き抜けていかなくちゃいけないし、ある意味、自由でいい。海外で勝負しているシェフと話しているとそう感じるし、実際にレストランに行っても、そういう空気があります。

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戸門 本田さんが度々仰っている世界のスケール感や規模の話は、日本のインターネットビジネスの世界でも同じで、「日本はもっと海外に出なくては」と言われているのですが、レストランも国内だけでは難しいのでしょうか。

本田 日本人だけ相手にしていればそうかもしれないですが、日本食はいま、海外の人から見て自分たち日本人が思っている以上に注目されている。でも、言葉の問題や予約の問題で、訪日しづらい人がいるのも事実。そういう問題が解決されたら、海外展開をしなくても、海外から日本にお客さんが来るようなビジネスが成り立つと思っています。

いま、訪日外国人が年間2500万人と言われていますが、僕から見たら全然少ない。フランスなんて国土が日本の1.5倍しかないのに、海外から約8000万人が来ているわけですから。パリの良いレストランに行ったら、お客さんのほとんどは外国人だったりする。日本も近い将来、そういうふうになっていくと思うし、そうしたらマーケットも一気に巨大になる。日本にいながらにして、世界を舞台にしていく。そういう時代にもうなってきているし、ここ数年で確実に変わっていくと思います。

異業種のシェフが繋がることで進化する、イベントの可能性

戸門 本田さんは、料理人や生産者の気持ちをすごく理解されていて、スターシェフとの交流もされていますよね。そのように、食を愛して行動するようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

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本田 もともと食べるのが好きで、お酒飲むのも好きだし、ちゃんと作っていないものを食べたくないという考えがあって。僕は大学時代に、グローバルダイニングの『ZEST 三宿』(現在は閉店)で1989年のオープニングからずっとアルバイトをしていたのですが、当時はグローバルダイニングがものすごく伸びてる時代で、勢いがあった。その時のメンバーも、HUGEの新川さんや、サイタブリアの石田さん 、エーディーエモーションのフミさん、といった錚々たる顔ぶれ。今も付き合いがありますが、彼らと一緒にやってきて、飲食って面白いけれど、華やかに見える裏側で大変なこともいっぱいあるのを見てきた。飲食業への興味も、食べること飲むことへの興味も、そこで働く人たちへの興味もあった。それが学生時代。

社会人になって、アメリカに留学して帰ってきて、収入に余裕が出てくるといろいろなところに食べに行くようになって。そうすると、だんだんと自分が行くなら、シェフの個性が立っているお店がいいなって。レストランにはいろいろな楽しみ方があると思いますが、ポケットコンシェルジュで紹介しているような「ストーリーのある店」というか、そういったところに僕も惹かれていて。それで、その人たちを応援したいという思いに変わっていって、いまに至っているって感じですね。

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戸門 本田さんの場合、レストランで食べて終わりではなくて、シェフと夜飲みに行ったり、魚を捕りに行ったり、酒蔵に行ったり。表面的なことだけではなくて、本質に関わる行動をしているイメージがあります。食べるのが好き、というだけではなかなかそこまではいかないですよね。本気で応援したいんだなってすごく感じるのですが、どういう思いが強くなって、そこまで足を一歩踏みいれていったのですか。

本田 僕自身が、単純に本質的なものに関わることが好き、っていうのもありますね。知らないものを知りたい、好奇心というか。どういう思いでその人たちがモノづくりをしているか。酒蔵もそうですし、漁師や農家の暮らしまで知りたくなってしまう。

書籍を出す場合でも、僕はレストランの評論家でも料理の専門家でもないから、美味しいか美味しくないか、という話を書いても意味がないかな、と。最近は、グルメサイトの点数だけを見て、スタンプラリーみたいに転々とするお客さんもいますよね。そこで、味の話だけじゃなくて、いわれのないクレームを書く人もいる。どうしてもそういうことって起きてしまいますが、作り手の人たちがどういう思いでその料理だったり、野菜や日本酒だったりをつくったか、というところまでもっと知ってもらった方がいいんじゃないか。そう思って、本も連載も書いています。表面的ではないところまで見てもらいたいなって。

戸門 現在、シェフのコラボディナーやイベントも多数手掛けられていますが、それらを開催する理由は何でしょうか?

本田 まずは自分が楽しめる、というのが第一にありますが、料理人って意外に横のつながりがないと思うんです。それは、同じ業態ではなくて、異業種とのつながり。鮨の職人とフレンチのシェフとか、普段はなかなか結び付かないような異業種が結びつくことで、何かが生まれる。だから、そういう人を一気に集めて、その場でつながりをつくってもらいたいなと思ってやっています。

パリでも、20~30人の料理人に集まってもらって開催していますが、普段は集まらないような人たちがいれば、「あの人も来ているの?」みたいになって、お互いの刺激になればいいなと。せっかくみんなそこそこのポジションで頑張っているのに、交流をもたないのはもったいないですよね。たまに会って、この人はこんなこと考えていたんだ、とか。鮨屋ってこんなところを努力しているんだ、こういう食材使っているんだとか、そういう情報交換から何かが生まれたり、進化があると思うんです。

戸門 僕も元々は料理人なので、やはり昔は“秘伝のタレ”的な感じで、横での共有はなかったですし、若い子には教えない、みたいな雰囲気があったかな、と。それが、いまはインターネットなどが普及してオープンソース化してきたから、情報を共有することがより大事になってきた。本田さんがやられているようにいろいろな業態のシェフをフラットにつなぐことって面白いですし、シェフ自身の交流によってお互いの質やスキルを高められるのは、素晴らしいことだなと思います。ちなみに、今後そういったイベントの発展形といいますか、こんなことができたらいいな、というアイデアはありますか?

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本田 料理だけじゃなくて、何かと結び付けることができたらもっと面白いな、と考えてはいます。料理のイベントって、どうしても数百人がマックスなのですが、例えば音楽の場合は、1回で数万人を熱狂させられることできるわけですよね。僕は、料理人もアーティストだと思っているので、将来的に料理でも1万人規模のイベントができたらすごく面白いんじゃないかなと。ラーメンだと、何千人も集まるイベントがありますよね。

あとは、いまドリームダスクや、トランクホテルでのイベント(※3)をやってまして、ドリームダスクは来年4月14日(土)と15日(日)に、トランクホテルは来年2月にもう1回やる予定。そういうイベントを、もっと盛り上げていきたいし、海外からも参加できるようにしたい。ドリームダスクに関しては、来たいと思っている海外の人もいると思いますが、日本語でしか発信していないから申込みもできない状態。今後は、海外の人向けに1日確保して開催することも考えています。

戸門 ありがとうございます。最後に、ポケットコンシェルジュとして、今後どのようなシステムを築いていけば、世の中に喜ばれるサービスになるかという視点で、本田さんのご意見をお聞かせください。

本田 先ほども少し話しましたが、日本はもっと海外からお客さんがきてもおかしくない状況。ポテンシャルがものすごくあるけれども、いまはまだ言葉の問題であったり、作法や予約の問題など、日本のレストランの情報も足りていない。そういうものを改善して解決するプラットホームに、ポケットコンシェルジュがなっていったらいいな、と思っています。それによって日本に来る外国人が増えたら、素晴らしいことですね。レストランの予約サイトにとどまらず、事業の可能性としてはまだまだあると思っています。

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戸門 弊社も、よりよいサービス、よい会社をつくっていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。本日は、ありがとうございました。

※3トランクホテルのイベント:参考記事 Numero TOKYO

【文】笹木理恵
【編集】白石直久
【撮影】キミヒロ

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