京都御池通りから少し入ったところにある、白い暖簾がかかっている静かな面持ちの店、そこが『一子相伝 なかむら』である。暖簾をくぐれば、外の喧騒とは空気が変わり、打ち水のされた石畳を踏みエントランスへ向かう。
『一子相伝 なかむら』は、19世紀初めの文化文政の時代、新鮮な若狭湾の高級魚グジやサバなどを、通称「鯖街道」を経由し京都へ運び、公家らに供したことから始まる。現在の店主は六代目である中村元計(なかむら もとかず)氏。大学卒業後、料理のおいしさ求め、京都大学修士課程において栄養科学を学び、先代から料理の心と技の全てを受け継ぎ、一期一会の精神と京料理の真髄を伝え続けている。
料理は、素材の味・色・香りを引き立てることに重きをおき、出汁や調味料を使わずに仕上げる「白味噌雑煮」日本酒を塗り重ね香ばしく焼あげられた「ぐじの酒焼き」は、ここでしか味わうことのできない品である。食事とともにぜひ味わっていただきたいのは、京都・北山の羽田酒造でつくられる「蒼光」(そうこう)だ。『一子相伝 なかむら』専用の樽で醸造、一番出来のよい酒が提供される。
食事とお酒を愉しむ店内は、純日本建築の座敷や堀炬燵、テーブルを配している。料理のみならず空間もあわせ、ご一緒いただく方々と味わっていただきたい。
※世界的グルメガイド京都・大阪 2023年度版にて三つ星を獲得
■アクセス
・京都市営地下鉄東西線「京都市役所前」駅より、徒歩5分
・京都市営地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅より、徒歩5分