京都の四条通から、高瀬川沿いに南へ徒歩7分ほど。春には美しい桜並木となる木屋町通に『本家たん熊 本店』は静かにたたずむ。京町家の座敷から、東山や鴨川を眺めつつ正統な京料理が味わえる、数少ない一軒である。
創業は1928年(昭和3年)。初代・栗栖熊三郎氏は「料理の神様」と称され、板前割烹の先駆者としても知られている。余計な手を加えず、素材の良さを最大に引き出す「もんも」な、つまり「そのまま」の料理が初代からの信条。しかしその飾り気のない料理の裏には、見えない手間暇がかけられている。優れた選択眼、熟練の庖丁捌き、器を料理と調和させるセンス、これらの全てが揃って「もんも」な京料理は成立する。
現在3代目となる主人は、初代が残した膨大な献立と信条を引き継ぎつつ、現代性を加味した京料理を日々研究、提供している。名物は、すっぽんの柔らかく煮込まれた身と旨みが溶け込んだ出汁で味わう「丸鍋」。臭みがなく滋味深いすっぽんは、苦手意識のあるゲストもその美味しさに驚く逸品である。
予約の際に席の趣向を伝えれば、設えに一工夫してくれる。心づくしのおもてなしで、大切な方との会食が忘れがたいものになる。また、『本家たん熊 本店』は京都ハラール評議会から「ムスリムフレンドリーレストラン」の認証を取得しており、ハラール・メニューの用意が可能(二日前までの要予約)なので、ムスリムの方も安心して本物の京料理を楽しむことができる。ぜひ、海外ゲストのもてなしの席などで、活用していただきたい。
※5月~9月までは、「納涼床」にてお食事をお楽しみいただけます
※世界的グルメガイド京都・大阪 2023年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
・阪急京都線「河原町」駅より、徒歩5分
・京阪本線「祇園四条」駅より、徒歩7分