金沢の片町交差点から徒歩3分、犀川から1本手前の通り沿いにある料亭『日本料理 銭屋』。豊かな食材に恵まれた金沢で、四季の恵みを最上の状態で味わってもらいたいと、昼夜完全予約制でお客様をもてなしている。
主人・料理長自ら市場に出向き食材を吟味するというこだわりよう。伝統を重んじながらも、斬新なアイディアを盛り込み、それぞれのお客様がどのような料理を求めているのかにも気を配りながら、ひと組ごとに献立を決めていくというスタイルにも、徹底した姿勢が表れている。
また、料理だけではなく器にもこだわり、輪島塗や九谷焼はもちろん、ときには古美術、一方では新進気鋭の現代作家の器を用いるなど、器の造詣に深く、加賀百万石の時代から金沢に根付く美意識の文化を感じることができる。
『日本料理 銭屋』の看板メニューは、先代が考案した「あわびステーキ」(要予約)。十数時間煮込み丁寧に仕上げられたあわびは、柔らかいのにぷるんと弾むような食感。肉厚の身に風味がしっかりと閉じ込められ、他にはない独特の名物料理となっている。
店内には、大小の個室が6室(通常の座敷席のほか、掘りごたつ、もしくは椅子席も可)あり、少人数から最大25名の宴席まで対応できる。そして『日本料理 銭屋』の特徴ともなっているのが、カウンター席。先代のこだわりから、金沢の料亭には珍しくオープンキッチンを配しており、鮮やかな手仕事を目に、料理人との会話を楽しみながら食事ができると人気だ。
主人は髙木慎一朗氏。『京都吉兆』で修業ののち、1996年に実家の『日本料理 銭屋』に戻り、二代目主人に。現在は弟の髙木二郎氏が総料理長を務め、兄弟二人三脚で店を受け継いでいる。さらに、慎一朗氏は、金沢だけにとどまらず、世界各地のホテルやレストランに招聘され料理を提供する国際派料理人で、日本料理、そして加賀料理を世界に発信し広めようと尽力する。「食材はできる限りその土地のもので。日本から食材を持ち込まなければならないような料理が、その地に定着するとは思えませんから」との言葉は、お客様にあわせ、その日の恵みを活かして毎朝献立を考えるという、日々のおもてなしにも通じている。
■アクセス
JR北陸本線(米原〜富山) 金沢駅 車で10分
北陸新幹線 金沢駅 車で10分