京阪本線「祇園四条」駅から徒歩10分ほど、華やかな花街から少し外れた裏路地に、隠れ家的で小体な店を構える『祇園 大渡』。季節感を取り入れた繊細な味わいの京料理が評判となり、グルメガイドで二つ星を獲得している日本料理店である。
店主の大渡真人氏は、『懐石 本多』、『季節料理 津むら』など大阪の数々の名店で修業を積み、2009年に独立。「修業した大阪と京都では水が違い、だしの出方が異なる」と感じ、京都の水に合わせマグロ節で上品な味わいのだしをひくなど、独自の研究を重ねて自らの味を作り上げてきた。
メニューはおまかせのコース一本。創作を取り入れる時はシンプルに、古典的な定番料理は徹底して追求するのが大渡氏の流儀。時にはだしを使わず水だけで炊いた「かぶらのふろふき」など、いかに素材の味を引き立てられるかを考慮して作る。炭火焼の焼き魚や土鍋で炊くご飯の他、長年たしなむ茶道からヒントを得て、最後を薄茶とワラビ餅で〆るのも名物の一つだ。また、大渡氏はソムリエの資格も持っており、料理に合わせて自らセレクトした日本酒、ワインを取り揃えている。
古民家を改装した店舗は、土壁に網代天井という茶室風の内装に、見事な一枚板のカウンター席8席のみ。記念日やデートでの利用が多く、席がゆったりとしているため接待にもむく。「肩肘はらずにゆっくりと楽しんでもらいたい」という大渡氏のもてなしは、忘れがたいひと時を楽しませてくれるだろう。
※世界的グルメガイド京都・大阪 2020年度版にて二つ星を獲得
■アクセス
京阪本線「祇園四条」駅6番出口より、徒歩10分