さまざまな人気レストランが軒を連ねる東京・代官山に、2017年12月にオープンしたフランス料理店『Simplicité (サンプリシテ)』。人・食材・料理に対して常に誠実であるようにと、古フランス語で「真っ直ぐな誠実さ」の意味をもつ「Simplicité(サンプリシテ)」を店名にし、店づくりをおこなう。
オーナーシェフの相原薫氏は、神奈川県・葉山のレストランで修業後、渡仏して一つ星の『アレクサンドル』(ニーム)、『ジャルダンデランパール』(ボーヌ)、『ルタンドヴィーブル』(ロスコフ)、二つ星の『ドメーヌドシャトーヴィユー』(ジュネーブ)で経験を積む。帰国後は、『銀座レカン』(銀座)で スーシェフ、『レヴェランス』(広尾)と『ヴァリノール』(荻窪) でシェフ として腕を振るい、念願の独立を果たした。
『Simplicité (サンプリシテ)』では、相原シェフの得意分野である魚を使った料理が中心。魚はシェフ自ら現地に足を運び、明石、五島列島、函館をメインに産地直送で仕入れており、それらを店で熟成させているのが特徴だ。「魚の熟成は血抜きの技術が必要不可欠ですが、特に五島列島は放血神経締め、明石は魚港の職人さんの血抜きの技術が素晴らしいです」と話す相原シェフ。店に届いた魚は、イワシなら3〜5日、サバなら1週間、クエなら3〜4週間熟成させるなど、巧みな技術で素材の旨みを最大限に引き出している。
コースは、魚のアミューズから始まり、前菜一品目に出るのがスペシャリテの「クルヴェット・エ・ローズ」。函館のボタンエビと香り高い奥出雲薔薇園の食用バラを組み合わせた一皿で、カリフラワーのピクルス、塩をして身がねっとりとするまで寝かしたボタンエビ、エビのコンソメジュレ、バラのエッセンス、仕上げにバラの花びらを砂糖漬けにしたものと液体窒素で急速冷凍したものを彩に添えている。その他、「明石ウマヅラハギのブルーチーズ肝和え」や、フランスパンの生地を3日ほど寝かし、軽く酸味を出してカンパーニュ風に焼いた自家製パンなど、相原シェフの真骨頂を垣間見ることができる。
木目調のデザインを随所に施しナチュラルに仕上げた店内は、カウンター8席と個室が3つ。個室は2名から利用でき、最大8名まで対応している。接待や記念日、デートなどはもちろん、英語とフランス語のメニュー表も用意しているため、海外からのゲストにも喜ばれるだろう。木の温もりを感じる落ち着いた空間で、食材と誠実に向き合う相原シェフの料理を、ぜひ自身の舌で確かめていただきたい。
※世界的グルメガイド東京2023年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
東急東横線「代官山」駅より、徒歩6分