オフィスビルに囲まれ、飲食店も数少ない東京・汐留エリアにひっそりと店を構えるステーキハウス『Restaurant Sugita』。看板もなく、電話番号は非公開。グルメサイトにも掲載はされていない、知る人ぞ知る隠れ家である。
店主の杉田靖尚氏は、食通の間では有名な、いまはなき神戸のフランス料理の名店『ジャン・ムーラン』で7年間修業し、父が経営する大阪・北新地の老舗ステーキハウス『Sugita』を継いだ。雌牛にこだわった上質な肉質と、完璧な火入れ、ステーキだけではなく、その他の料理の美味しさも高い評判を得て、全国から食通が通う人気店となった。
そんな名店が大阪の店を閉め、満を持して東京への移転を果たしたのが、2017年11月。実は、杉田家はもともと明治の頃までは材木問屋として東京で商いをしており、いつか東京で看板を掲げるのが悲願であったという。看板のデザインに木をモチーフとして使用しているのも、そうした想いを込めたものだ。
但馬牛、神戸牛などをはじめ全国から仕入れる最高級の肉は、0℃で管理できる巨大な冷蔵庫で氷温熟成されることで、さらに柔らかく、芳醇な香りと深い旨みを生む。メニューは大阪時代と同様、ステーキをメインか、さまざまな部位を少しずつ味わうかのコースを選択でき、特にヘレ肉(フィレ肉)が秀逸。ロゼ色のレアな火入れが見事な、お土産のヒレカツサンド(要予約)も人気だ。
常連には以前の来店履歴を見ながらその場でコースを組み立てるため、何度も通うファンが多いというのも納得。ワインやノンアルコールのペアリングもあり、他ではお目にかかれない希少なワインも揃う。照明を落とした店内にはジャズが流れ、料理はアンティーク一点ものの器で供されるなど、最高の肉を味わうのにふさわしい空間演出が、さらに情緒を高めてくれる。
◾️アクセス
JR新橋駅 烏森口 徒歩7分
東京メトロ銀座線 新橋駅 A2出口 徒歩7分
都営大江戸線 汐留駅 7番出口 徒歩5分