静岡・焼津の“幻の鰻”として知られる「共水(キョウスイ)うなぎ」。臭みが少なく、脂の質が良い、とろけるよな味わいが特徴で、限られた店でしか食べることができない。この希少なブランド鰻を日本で初めて提供し、いまもなお全てのメニューに100%「共水うなぎ」を使用して人気を博しているのが『恵比寿 鰻 松川』だ。
1971年(昭和46年)創業の『恵比寿 鰻 松川』は、2度の移転を経て、2017年7月、東京・恵比寿の閑静な住宅街に、装いを新たにリニューアルオープン。以前はアラカルトメニューを中心とした、いわゆる“街の鰻屋”だったが、現在は高級感のある設えとコースを主体にし、都会にいることを忘れるような空間で、ゆっくりと過ごせる店づくりを行なう。
店主は、二代目の安藤幸治(アンドウ コウジ)氏。幼い頃から鰻店を営む父の背中を見て育ち、都内の鰻店で7〜8年の修業を経て、1989年、25歳で『恵比寿 鰻 松川』に入店。以来、約30年に渡り、その暖簾を守り続けている。
「共水うなぎ」は、鰻問屋を介さずに池から直送で仕入れ、提供直前まで店にある循環式のイケスで保管。鰻を焼く炭は、火力が強く長持ちするという土佐備長炭を使用し、近火で焼き上げる。また米にもこだわり、鰻との相性を考えて、「あきたこまち」「コシヒカリ」「ササニシキ」の3種類をブレンドしたもの仕入れている。
メニューは、昼は鰻重、夜はおまかせコースがメイン。特におまかせコースは、季節の前菜のほか、鰻を使ったしんじょう、鰻ざく、茶碗蒸し、天ぷら、〆に鰻重と鰻づくしの内容で、一人前で鰻を二匹も使用するという。お酒は、「九平次」「九頭龍」「久保田 千寿」「真澄」など日本酒が7種類、ソムリエからアドバイスを受けて仕入れるイタリアやフランスのワインを、赤と白で3種類ずつ用意する。
客席は、樹齢300年のヒノキの一枚板を使ったカウンター8席、4名用の完全個室が2室で構成。個室は、中央のパーテーションを外して繋げることができ、秋の時期は紅葉が彩りを添える和風の庭を眺めながら食事を楽しむことができる。また、鰻重には輪島塗の重箱を使用するなど、設えの全てで高級感のある空間を演出し、接待、デート、記念日、家族での食事など幅広く利用可能。落ち着きのある店内で、ゆっくりと“幻の鰻”を味わってみてはいかがだろうか。
■アクセス
JR「恵比寿」駅東口から、動く通路「恵比寿スカイウォーク」を利用した出口より、徒歩5分