江戸以前に広島最初の魚市場として始まり、現在は広島市繁華街の中心部となる「中の棚(なかのたな)」で2014年4月にオープンした『魚喰い切り壮士』。広島県の全ての飲食店で、いま最も予約が取れない店として有名だ。
大将の佐谷壮士氏は、調理師学校卒業後、鮨屋に就職するが、魚を追求するために水産仲卸に転職。17年勤め、満を持して『魚喰い切り壮士』を開業した。料理人や鮨職人としての経歴がほとんど無いのが、逆に当店の個性を突出させ、人気を博している。
魚は必ず毎朝市場に足を運び、自ら目利きをする。例えば、カワハギは筏付きの雌だけを選ぶなど、魚屋時代の経験が光る。これらの魚を、山口産ノドグロなら塊で炙り熟成薬味を添えて鮨に仕立て、広島産カワハギは握りにして、驚くほど山盛りの肝和えと共に提供している。
酢飯は、広島産「アキサカリ」に、酢をつくる際、一般の八倍量の米を使ったプレミアム米酢と赤酢をブレンド。ワサビも広島産を選び地繋がりの統一感を感じさせる。メニューは“瀬戸内前”の「おまかせ」一本のみ。最初に季節のおつまみを6~7品、その後に鮨が10貫前後という流れ。日本酒は、広島「雨後の月」「寳劔」「龍勢」、山口「カネナカ」「貴」、島根「出雲富士」「超王録」など中国地方の地酒を始め20種前後を揃える。
店舗は、シャッターの降りた店の隅、暗がりに潜む英アンティークの扉から入店。14名のカウンター席のみで、照明を落としてムードのある空間を演出する。広島のオンリーワンを目指し邁進する佐谷氏の鮨を、ぜひ一度ご堪能いただきたい。
■アクセス
JR「広島駅」南口より、タクシーで約10分
広島電鉄「立町駅」より、徒歩5分