北海道・札幌の円山エリアは、落ち着きある上品な雰囲気の街である。その、表通りから一本入った静かな路地にひそやかにたたずむのが、日本料理『TAKU円山(まるやま)』。2009年オープン以降、グルメな大人のゲストたちに支持され、2017年にはグルメガイドで一つ星を獲得した実力派の和食店である。
オーナーシェフの和田 勇人(わだ はやと)氏は、北海道のなかでも食材の宝庫として知られる奥尻島の出身。小さな頃に食べた地元食材のおいしさを伝えたいと、奥尻島で採れた山菜やキノコ、ウニなど季節ごとの特産品を積極的にメニューに導入。そのほかにも、札幌近郊の農家から仕入れる野菜をはじめ、仲買から毎日仕入れる魚貝類も北海道産に徹底し、この地ならではの食材の恵みをふんだんに感じさせてくれる。
料理は旬の食材を取り入れた、季節感あふれる全10品ほどの会席コースが人気。特に、和食の基本である「だし」にこだわっており、羅臼(らうす)産と尾札部(おさつべ)産の2種の昆布とカツオ節で丁寧にだしをとり、ごく薄味に調味する。見た目にも上品な淡いだしながら、濃い旨みと甘みを感じさせ、料理の軸として全体の味わいを支えている。さらにゲストに評判なのが、赤酢をきかせた酢飯と旬の魚介類を組み合わせた鮨が、コースの締めに組み込まれていること。アルコールはワインを充実させており、こちらも北海道産や奥尻島産のものを中心に取り揃えている。
築50年の家をリノベーションしたのが、『TAKU円山(まるやま)』。北海道の雪をイメージした白で統一されており、スタイリッシュな印象。7席のカウンター席とテーブル席、半個室(6名まで)で構成されており、記念日や接待などにもオススメ。落ち着いた空間で、北海道の恵みと日本の職人の技を、余すところなく味わわせてくれる北の名店といえる。わざわざ訪れる価値のある一軒である。
■アクセス
札幌市営地下鉄・東西線「円山公園」駅3番出口より徒歩3分