広島の高級住宅街・幟町にあるビルの2階に、2000年代の広島フレンチを牽引してきた『ル・トリスケル(le triskel)』はある。広島の食通ならば知らない人はいないほど、有名な老舗のフレンチレストランだ。
オーナーシェフの勇崎元浩氏は、70年代後半から80年代に、フランス、イタリア、スイスなどで経験を積んだ。当時はまだ、渡欧修業の為の斡旋ルートなどがほぼない時代である。『タイユヴァン』、そしてロギヴィー=プルグラ(フランス)時代の『パトリック・ジェフロワ』などで修業。IKA世界料理オリンピック2000では、広島県チーム代表を務め、見事銅メダルを獲得。同年に『ル・トリスケル』を開業し、現在まで広島政財界のサロン的な役割を果たしている。また広島県主催のシェフコンクールでは、中村勝宏シェフ、吉野建シェフと共に審査員を担当し、そこから若手シェフがフランスの三つ星店へと巣立っている。
勇崎シェフは、70年代からのフランス料理の文脈を真面目に踏襲しながら「食べてちゃんと美味しい料理」に、きちんと向き合う。「オマールのテリーヌ」や仏パリ・ミラヴィルのジル・エピエシェフにインスパイアされた「フォワグラのベニエ」など、改良を重ねつつ18年間ずっと作り続けているスペシャリテには、勇崎シェフの料理への誠実な想いが込められている。特に『パトリック・ジェフロワ』のエスプリを受け継いだオマール料理の数々は、ぜひ味わっていただきたい逸品。もちろんテロワール食材も、広島牛、太田川の天然鮎、三良坂フロマージュなど、バランス良く取り入れる。ワインは別所に専用のセラーを設え、約200種保有。ボルドーとブルゴーニュを中心に、五大シャトー、DRCも揃える。オールドヴィンテージも秘蔵しているので、ワイン好きなら予約時に相談してみるといい。
個室もあり、ベジタリアンや、お子様メニュー、カロリー控えめなどの要望にも事前相談で対応可能。ぜひ『ル・トリスケル』に足を運び、「広島の巨匠」の歴史ある料理を体感していただきたい。
■アクセス
JR「広島」駅よりタクシー5分
広島電鉄1系統(宇品線) 「銀山町」駅より徒歩10分
広島電鉄6系統(江波線) 「銀山町」駅より徒歩10分