港区の閑静な高級住宅街、白金高輪の北里病院近くに、2018年2月にオープンした『あき山』。店主の秋山英登氏は、魚中心の居酒屋で働くうちに魚をもっと知りたいと思うようになり、一つ星・西麻布『鮨 真(しん)』で5年修業。いい魚にふれ、調理技術も磨き、そしてさらに日本料理ついてもっと深掘りしたいという思いが強まり、二つ星の日本料理店・神宮前『樋口』で4年の経験を積んだ。
独立にあたり秋山氏がコンセプトに掲げたのは、鮨店でも懐石料理でも割烹でもなく、小料理屋。「肩肘はらずに、おいしいものを食べたいというときに行ける、普段使いのお店を目指しています。料理もジャンルにこだわらず、美味しいものを少しずつ、お酒と一緒に楽しんでいただきたい」と秋山氏。毎日築地に通って仕入れる旬の食材で構成されるおまかせコースは、魚介を中心に、お造りや焼き物、炊き物、それに季節野菜の一品料理を少量ずつ提供する流れ。お凌ぎは巻物、手巻き、棒鮨、ちまきなどを季節替わりで。〆に用意されている手打ち蕎麦や炊きたてのご飯も絶品だ。どれも派手さはないが、滋味深く、しみじみおいしいと感じられるものばかり。お腹の具合で品数を調整してくれる配慮も嬉しい。料理に合わせて楽しみたい日本酒も、季節ごとに厳選された銘柄が揃っている。
内装は、グレーのモルタル造りのカウンターに、和紙の鮮やかな藍色の壁が映えるスタイリッシュな空間。江戸や平安時代の器や、飾られた書などからも和食の粋が感じられる。客席はカウンター7席のみ。一人での来店はもちろん、友人同士や夫婦など親しい間柄や海外ゲストのおもてなしなど、会話のはずむ食空間にじんわり浸ってほしい。
※世界的グルメガイド東京2023年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
都営三田線・東京メトロ南北線「白金高輪」駅3番出口より徒歩10分
都営三田線・東京メトロ南北線「白金台」駅2番出口より徒歩13分
都営バス「田87」北里研究所前徒歩1分