「一本鰻」というコンセプトを打ち出し、2017年10月に開業した、名古屋『うなぎ 四代目菊川』。数々のうなぎ専門店が贔屓にしている創業90年の老舗卸問屋が経営しているとあれば、その素材のよさは言うまでもない。
長年培ってきた目利き力に加え、その美味しさの秘密は、60年以上も守り続けてきた「立場(たてば)」にもある。うなぎを生かしておくためのこの施設は、地下200メートルの井戸水を汲み上げて作られており、井戸水で泥抜きすることで臭みがなく、良質なうなぎへと変わるという。「一本鰻」は、そんな老舗卸問屋だからこそできる究極のスタイル。通常はカットして提供されことが一般的なうなぎを、その名の通り一本丸ごと提供する。大きさは、一般的に使われるうなぎよりもひと回り大きい約300g。肉厚なため、皮目をしっかり焼き上げても身が縮まず、備長炭の強い火にも負けない脂ののり具合も素晴らしい。さらに、オーダーに応じてさばきたてを提供するのもこだわり。
こうした極上うなぎの持ち味を最大限に引き出すのが、名古屋の和食店で10年近く料理長を務めた茶畑秀章氏をはじめとする熟練の職人衆。うま味を閉じ込めながら短時間で焼き上げ、外側はパリッと香ばしく、中はふわっと、脂がとろけるような食感に。滋賀県・信楽焼の器で提供するうな重をはじめ、ひつまぶしや白焼き、うなぎ尽くしのフルコースなど、様々なメニューで楽しませてくれる。なかでも、捌いて10秒以内に客席にお出しするという希少な生の心臓や鎌(カマ)、鰭(ヒレ)、兜(カブト)などは、卸直営ならではの安心感もあり人気の逸品。
落ち着いた和風モダンな造りの店内は、一枚板のカウンターをはじめ、テーブル席、個室と幅広い客席構成。ガラス張りのカウンター越しにうなぎを捌いたり焼いたりするところが見え、ライブ感も満点。また個室では、ゆったりとうなぎの魅力に舌鼓を打つことができ、晴れの日の利用にもふさわしい、名古屋を代表するうなぎの名店である。
■アクセス
名鉄名古屋本線・名古屋市営地下鉄東山線 / 桜通線「名鉄名古屋」駅より徒歩15分