東京都世田谷区、駒沢公園通り沿いに、ひときわ目を引く真っ白な一軒家イタリアンレストラン『イル ジョット』はある。高橋直史(たかはし なおふみ)シェフは、広尾『イル・ブッテロ』で7年間修業した後にイタリアへ。ボローニャ『ラ・ヴォーリアマッタ』で2年間腕を磨き帰国。2002年『イル ジョット』を開店し、2011年に現在の場所へ移転。自宅兼レストランとして駒沢の地に腰をすえ、地元に愛されるイタリアンとして人気を集める。
料理は全てアラカルトで、スペシャリテは熟成肉料理。オープン当初は野菜や魚がメインだったという高橋シェフの転機は、料理人たちからの信頼も厚い「サカエヤ」の新保吉伸(にいほ よしのぶ)氏との出逢いだった。北海道の完全放牧野生牛「ジビーフ」、岡山「吉田牧場」のブラウンスイス牛など希少なブランド肉に、適した処理を施し、『イル ジョット』の料理にふさわしい最高の状態で卸してくれる新保氏との付き合いが、唯一無二の熟成肉が味わえるイタリアンへと進化させた。中でも、新保氏が「世界で一番旨い豚肉」と明言する「愛農(あいのう)ナチュラルポーク」は、独自の手法で熟成されたうま味、炭火焼きの香ばしさ、そして、塩・胡椒・オリーブオイルのみというシンプルな調味で仕上げられ、まさに頬が落ちる味わいである。
オープン当初からの人気メニューは「グリーン野菜のオレキエッテ」。季節の野菜を14種類ほど使ったオイルベースのパスタで、このボローニャ仕込みの手打ちパスタ目当てに来店する常連客も後を絶たない。ワインは、高橋シェフ自ら現地に何度も足を運んで選び抜いたイタリアワインが中心。白は60種類、赤は100種類以上。ヴィンテージワインや、シャンパーニュ、食後酒のグラッパ、デザートワインも揃えるなど、さまざまなリクエストに対応する。
テーブル 16席、カウンター 3席の店内は、木のぬくもりが感じられる床やテーブルと、白い壁とのコントラストが印象的。オープンキッチンからこぼれる高橋シェフの笑顔で、まるでシェフの家に招かれたような空間。友人同士での会食や、カジュアルデートなどで、癒しの食体験を味わっていただきたい。
■アクセス
東急田園都市線「駒沢大学」駅より徒歩15分