愛媛県松山市の繁華街・二番町に、凛と涼しげな門構えの『鮨の間(すしのま)』はある。三つ星を誇る日本最古の「道後温泉」に路面電車で約10分という立地。店主・野間 省吾(のま しょうご)氏は、18歳から愛媛県今治市「健寿司(けんずし)」の田ノ窪 健児氏に16年一筋に師事し、2010年に満を持して独立。愛媛の鮨をベースに江戸前の利点なども取り入れた「瀬戸内前の鮨」で、2018年には世界的グルメガイドにて二つ星を獲得した。
愛媛近海の地魚に合わせ、酢飯はコシヒカリに米酢、塩、砂糖で調味。伝統食の「伊予ずし」のような西日本らしい甘さを、わずかに感じさせる仕上げである。ワサビは3年物、煮切り醤油には地酒「山丹正宗」を使用。そして、愛媛名産の「スダチ」と野間氏の出身地・伯方の「天日干しホンダワラ塩」を活用するのが特徴で、オリジナルの瀬戸内前鮨を生み出す。全ての魚は天然物の放血神経締めにこだわり、アコウ、テナガダコをはじめ、松山沖・中島の殻付きウニ、河原津の海ウナギなど、この地ならではの魚介類が揃う。スペシャリテは愛媛名産のクルマエビ。握る直前に半生に茹で上げ、醤油とスダチ塩の2種で食べ比べる。『鮨の間』の鮨は、引っくり返して魚が下になるよう口へ運ぶと、鮨ダネと酢飯がほど良く口中でほぐれるように握られている。つまみは主にお造りと炙りのみだが、鮨ダネと魚介は使い分けており、食べ飽きない工夫がされている。
食材にそっと寄り添う必要最小限の調味は、ワインとの相性も良く、シャンパーニュやワインの持込みも歓迎。日本酒は「千代の亀」「川亀」「石鎚」「京ひな」などの地酒を中心に10種以上が揃う。カウンターは白木の一枚板、器は備前焼・人間国宝の伊勢崎家に特注、織田蘭斎の書や古伊万里が店内を飾る。完全個室もあり、落ち着いた上質空間で「愛媛の鮨」を堪能できる。
■アクセス
伊予鉄道6系統(本町線) 「勝山町駅」より徒歩2分
伊予鉄道「松山市駅」よりタクシー8分
JR四国「松山駅」よりタクシー12分