九州一の繁華街、福岡の博多・天神からほど近い住吉神社のそばに店を構える『御料理 古川』。店主・古川 誠(ふるかわ まこと)氏は、福岡・太宰府市出身。大阪の老舗日本料理店『味吉兆』で13年経験を積み、福岡・中洲の割烹でも4年ほど腕を磨き、2018年7月に独立した。
「老舗で学んだ正統派の懐石料理を主軸としながら、福岡でこそ表現できる日本料理の可能性を追求したい」と古川氏。柳橋市場で仕入れる旬食材をはじめ、厳選した地元の素材を使用、さらに、有田焼の器や、博多織、大川組子、久留米籃胎漆器、博多曲げ物など、「ものづくり」を感じられる要素を積極的に採用。福岡、ひいては九州のものづくりの文化や職人の思いまでをも料理を通して伝えられるような店づくりをモットーとしている。コース仕立てで提供される料理のうち、ハイライト的な存在なのが八寸。『味吉兆』の修業時代から好んで作っていたという古川氏による、手を掛けた華やかな品々が美しく盛られ、目でも舌でも楽しませてくれる。また、日本料理の花形ともいえるお椀に使うのは、大阪の老舗昆布問屋『こんぶの土居』から仕入れる北海道・白口浜の最高級昆布と、枕崎産のカツオ節でとる一番だし。〆の土鍋ご飯は、太宰府の実家で栽培している米を使ってゲストごとに炊き上げるなど、厳選した素材のよさと、丁寧な仕事ぶりが伝わる料理を貫いている。常時18種類以上も揃える季節の日本酒も、料理との相性がよく、かつ造り手の思いがこもったお酒ばかりだ。
店内は、福岡・東峰村の『森山銘木』による桜の一枚板のカウンターが映える純和風の空間。「堅苦しい雰囲気ではなく、お客様と一緒に楽しめるような空間にしたい」という古川氏の意向から、カウンター越しに炭焼き台が見えるなど、臨場感が味わえるデザインも特徴だ。客席は、カウンター6席に加えて個室が2部屋あり、お子様連れでのご予約も可能。家族のお祝い事や顔合わせなど、シチュエーションに応じてゲストの要望にもできる限り応えてくれるのも心強い。日本料理らしいおもてなしが細部にまで行き届いた空間で、日本料理の伝統や郷土の文化に思いを巡らせながらゆったりと食事を楽しんでいただきたい。
■アクセス
西鉄天神大牟田線 薬院 徒歩12分