白金台駅から徒歩 10分。閑静な住宅街のなかにひっそりとたたずむ『鮨みず乃』。店主の水野良行(みずの よしゆき)氏は、日本橋の老舗鮨店で20年間経験を積み、東京・大門に『鮨芝大門 水野』を開業。2018年6月、新たなステージを求めて白金の路地裏に移転した。
「こんなところに鮨屋が?という意外性のあるロケーションも楽しんでいただきながら、きちんと仕事をした江戸前鮨を味わっていただきたい」と水野氏。扱う魚介は、豊洲市場から。修業先の仕入れ先を受け継ぎ、長年の付き合いや信頼感のもと、良質な魚介を仕入れている。酢飯は、赤酢と塩のみで作る昔ながらの味わい。米は、雪室で寝かせてうま味をたっぷりと備えた山形の「つや姫」。そこに、8年熟成の赤酢など2種類の酢を合わせ、すっきりと食べやすい酢飯に仕立てる。できあがった酢飯はおひつごと特製の藁のふごに入れ、温度管理にもこだわっている。「江戸前鮨の主役は、やはり握り。鮨をいかにおいしく召し上がっていただけるかを大事にしています」という水野氏の言葉通り、ここでは店主渾身の握りをぜひメインに楽しんでいただきたい。また、日本酒は水野氏みずからが足を運んで選んだものを用意。和食や鮨とともに飲み続けられるすっきりとした食中酒をコンセプトに、季節の酒を織り交ぜながら常時7~8種類を揃えている。
ヒノキの天板や網代天井など和の造作が美しい店内は、カウンター7席のみで、貸切も可能。エントランスに掲げた銅製の行灯は京都の職人の手によるもので、店の調度品から仕事道具の一つ一つに至るまで、手仕事にこだわる水野氏の思いが貫かれている。「決して敷居の高い店ではないので、肩肘はらずに気軽にご予約ください」と水野氏。正統派の江戸前鮨を、気取らない雰囲気に包まれて、良心的な価格で味わえる隠れ家だ。
■アクセス
都営三田線 白金台 徒歩10分