東京・世田谷の二子玉川駅近くに店を構える、イタリアンレストラン『Ristorante i-lunga(イ・ルンガ)』。イタリアの伝統料理、日本食材やその生産者に敬意を表し、オーナーシェフ・堀江純一郎(ほりえ じゅんいちろう)氏が東京で再び腕をふるう。
東京生まれの堀江シェフは、25歳でイタリアへ。2002年、ピエモンテ州『RISTORANTE PISTERNA』のオープニングシェフに就任すると、開店から約1年半で世界的グルメガイドブック(イタリア版)で、日本人初との一つ星を獲得するという快挙を成し遂げた。9年間のイタリア滞在を終え、帰国後は2007年に東京・西麻布に「ラ・グラディスカ」をオープン。巨匠は惜しまれつつも、2009年8月に奈良に拠点を移し、東大寺門前に「リストランテ イ・ルンガ(Ristorante i-lunga)」を開店。そして2019年2月、東京・二子玉川に移転した。「世田谷で育ち、通っていた駒澤大学も世田谷。東京に戻ろうかと考えた時、多摩川が近く環境も良い、親しみある世田谷がいいと感じた」と、堀江シェフは明かす。
堀江シェフの料理は、イタリアの国、食材、料理をリスペクトしながら、日本国内の生産者とタッグを組み、オリジナリティを加えたもの。これまでと異なるのは、海外からのゲストをも意識した「箸」の用意と「うま味」の置き方。日本やフランスでおこなう子どもたちへの味覚教育『味覚の一週間』で指導する中で、第五の味覚である「うま味」が世界にも認められてきた背景のもと、たとえば水出しした昆布やどんこ椎茸などを使って料理に味の層を生み出すことも。スペシャリテは「アニョロティ ダル プリン」。ピエモンテの魂ともいうべき郷土料理。「ごまかしのきかない料理を現地で外国人である自分が習得するのは大変だったが、イタリア人からも認めていただいたことを誇りに思っている」と堀江シェフ。ワインはイタリアの自然派を中心に、グランヴァン、スーパータスカンのオールドヴィンテージなど豊富に用意。料理とゲストの好みに合わせて、ワインペアリングの提供も可能。
建物は、日本では珍しい木造のビル。その最下階で、太い木の柱と梁を生かしたデザインが目を引く。店内はテーブル14席のみのこぢんまりとした空間。自然と調和するような木を使ったインテリアやライティングを駆使し、ハイクオリティで上質な時間を過ごせるように演出されている。家族や友人、食通の仲間とのワイン会、または海外ゲストのおもてなしなどで、穏やかな食事の時間を愉しんでいただきたい。
■アクセス
東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川」駅より徒歩5分