銀座三丁目のビル7Fに店を構える、日本料理店『銀座ふじやま』。店に一歩足を踏み入れると、銀座にありながら京都をおもわせる凛とした和の設え。店主の藤山貴朗(ふじやま たかお)氏が腕を振るう。
藤山氏の経歴は輝かしい。18歳から京都市内の木屋町で割烹の修業を始め、24歳で「和久傳」に入社。3年後に『室町和久傳』の料理長に抜擢され、32歳で『高台寺和久傳』の料理長に。その後、総料理長就任を経て、20年務めた「和久傳」を退社。その実力をもって、活躍の舞台を東京は銀座へと移し、2019年3月に自身の名を冠した店『銀座ふじやま』を開店した。観光都市である京都を離れ、「和久傳」という看板を外して東京進出した藤山氏。「自分の名でどこまで通用するのか、自分をさらしてみたかった」と藤山氏は明かす。
『銀座ふじやま』の料理は、良い素材をシンプルに仕上げるのがコンセプト。長年培った京料理の手法をベースに、食材へのアプローチや解釈を変え、独自のアレンジを加えて完成させる。たとえば鱧ならば、あえて炙りや生で提供するなど、一捻りして面白みを効かせるところが藤山流。食材は、野菜・魚・水も主に慣れ親しんだ京都や関西から仕入れ、「京都時代と同じ感覚でありつつも、産地にこだわり過ぎず、さまざまな食材に挑戦していきたい」と藤山氏。ドリンクは、京都など関西をはじめとする季節の日本酒を合わせて約10種類揃え、ワインはシャンパーニュ、白ワインをメインに10種類ほど用意。料理に合わせ、味わいや価格帯も幅広く置いている。
店内は数寄屋造りをベースとした設えで、まるで京都にいるような感覚を与える。本物の上質な材木を選び、料理と一緒でアレンジを効かせる為に、洋材も加えながら新しい数寄屋のスタイルを構築している。アメリカ産レッドウッドを使ったカウンター(9席まで)は、木目を浮き上がらせたスタイルッシュなデザイン。椅子はデンマークの家具デザイナー、ニールス・O・モラー(Niels O.Moller)による、1900年代半ばのビンテージもの。個室(4席×2部屋)の床柱は、藤山氏自らが探しあてた現代アートのような廃材を活用しており、最大8名まで利用可能。家族や友人、仕事仲間とのリラックスした会食や、海外ゲストのおもてなしの場としても、ぜひ京料理の新世界『銀座ふじやま』を訪れていただきたい。
※世界的グルメガイド東京2023年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
東京メトロ「銀座」駅 A11出口より、徒歩4分