北海道札幌市・円山公園に程近く、繁華街を少し外れた閑静な住宅街に店を構える、『鮨しののめ』。地元出身の大将、中原 渡(なかはら わたる)氏が、北海道流の江戸前鮨を提供する。
店名の由来は、中原氏の出身地が、北海道の東川町東雲(しののめ)地区であることから。また、東雲は夜明けという意味があり、初心を忘れないようにとの想いが込められる。中原氏は前職、映画やCMで特殊効果の専門会社に勤めていた異色の経歴をもつ。観客の反応がダイレクトに伝わってこない物足りなさを感じる中、趣味である釣りを通して魚に興味を持ち、料理の世界へ。東京の鮨店で5年間修業し、鮨の技術や知識を叩き込んだ後、帰郷。2016年に『鮨しののめ』を開店した。
『鮨しののめ』の握りは、北海道産の食材をふんだんに使い、江戸前の確かな技をベースに中原氏なりの解釈を折り込んだ独自の鮨。たとえば、ウニが食べている昆布をヒントに、自家製の昆布塩を作り、無添加のウニに合わせるなど、食材ごとにアレンジを加える仕掛けづくりは、前職のアイデアや思考法が活かされた鮨といえる。酢飯は、東川町の実家でつくられた米「ななつぼし」と、「ゆめぴりか」の古米をブレンド。水も、米が育ったのと同じ東川町にある大雪山連峰最高峰の「旭岳源水」を使用。酢は、京都丹後・飯尾醸造の10年熟成の赤酢プレミアムをベースに、同社の2種類の米酢をブレンドする。「第一にこだわるのは酢飯。送られた玄米をその日使う分だけ精米。輪郭のある酢飯になるように、全工程をきっちり時間を計って羽釜で炊く。鮨ダネとは、6:4の割合で酢飯の印象が強く残るようにし、口の中でお互いが混ざった時に、うま味が爆発するような鮨にしたい」と中原氏は話す。しょう油は愛媛県・梶田商店「巽(たつみ)醤油」を使い、無添加と長期熟成にこだわる。
日本酒は燗酒も含めて常時8種類。メニューに載っていない定番外の日本酒もあるので、ぜひお好みをリクエストしていただきたい。ワインや焼酎、ウイスキーも用意。酒器や器は北海道の作家ものを中心に、岩見沢「こぶ志焼」や余市・馬渡新平氏などを揃えている。
店内のL字カウンター(8席)は、静岡の天竜檜を使用。予約時の相談で、9-10名様も可能。家族や気心知れた友人同士、仕事仲間などと、和やかに中原氏独自の鮨を楽しんでいただきたい。
■アクセス
札幌市営地下鉄東西線 円山公園駅 徒歩5分