石川県の北部。日本海に突き出した能登半島の奥能登にあるのが輪島市。輪島塗や朝市で知られる、自然豊かなこの町の中心地に店を構えるのが一つ星の『ラトリエ ドゥ ノト (L'Atelier de NOTO)』。能登の食材に惚れこんだシェフの池端 隼也(いけはた としや)氏が、能登の魅力を最大限に引き出し、表現する。
池端氏は、石川県輪島市出身。大阪の辻調理師専門学校を卒業し、大阪のフランス料理店『カランドリエ』で修業。2006年にフランスへ渡り、星つきレストランで約5年間研鑽を積んだ。帰国後はなじみのある大阪での開業を考えたが、料理を極めるうちに、故郷・能登の食材、空気感の素晴らしさを再発見し、故郷での独立を決意。2014年に『ラトリエ ドゥ ノト』を開店し、世界的なグルメガイドブックにも名を連ねる人気店となった。
「住めば住むほど能登の魅力に気づく」という池端氏。「能登の生き生きとした野菜や新鮮で美しい魚介類、この土地の人々がうみ出す素晴らしい産物や工芸品などのすべてが能登の宝物。それをお客様にお伝えし、感じていただきたい」と話す。また、良質な天然キノコの産地であったり、縦長の地形による内海のおかげで、たとえ海が荒れても湾になっている場所は漁に出ることができたりと、食材の宝庫としての強みが多い。池端氏のスペシャリテは、“山のあわび”ともいわれる能登のブランドシイタケ「のと115」を使った「のと115のコンフィ 炭の香りを添えて」。シイタケの香りと食感をいかしたコンフィに、テーブル上で炭の香りをふわっとまとわせる季節を感じられる一品だ。日本酒にもこだわり、超軟水から銘酒を多数生む能登の日本酒を中心に、12−13種類を用意。ワインは、池端氏がフランスでの修業時代から熟知するブルゴーニュを中心に、幅広く200種類揃えている。
趣のある建物は、もともと輪島塗の塗師屋(ぬしや)の家屋だった建物を改装したもの。蔵の扉や天井はそのまま残し、かつての栄華を感じさせる。器は漆、すず焼、ガラスなど、想いの込められた作家の作品を扱っている。ダイニングは14席と、個室(4−6名)と半個室(4-6名)も用意。中庭を囲んでゆったりと食事を楽しめる『ラトリエ ドゥ ノト』は、家族や友人同士、デート、そして海外ゲストのおもてなしなど、さまざまなシチュエーションにオススメ。能登愛にあふれる池端氏ならではの、ガストロノミーを堪能していただきたい。
■アクセス
JR北陸本線(米原〜富山) 金沢駅下車特急バス乗換 輪島マリンタウン駅 徒歩7分, のと鉄道七尾線 穴水駅下車路線バス乗換 輪島駅 徒歩10分