鮨の名店が立ち並ぶ銀座。あえてその激戦区、銀座の7丁目にあるビル地下1Fに店を構え、人気を集めるのが鮨店『銀座 凛(りん) にしむら』。大将の西村 英典(にしむら ひでのり)氏が、通りの喧騒を忘れさせてくれる朗らかな表情で、鮨を握る。
西村氏は、18歳から鮨職人として麹町を皮切りに、表参道、赤坂と都内の鮨店で修業を積む。2015年に、鮨店『銀座 凛』の店長に就任。その後、店のリニューアルとともに独立。2017年11月、現在の場所に『銀座 凛 にしむら』を開店。お客様とのコミュニケーションを大切にしながら、しっかりとした仕事を施す料理が評判となった。
「食事は楽しくするもの」。西村氏はお客様と気さくに会話し、敷居の高い鮨店のイメージを払拭する。和やかな雰囲気で満足感が得られるのも、食通をもうならせる料理の味があってからこそ。食材は、基本的に豊洲市場より、信頼をおく仲買から仕入れる。酢飯の米は、岩手県の「遠野(とおの)4号」を使用。精米したてを提供できるように、農家から少量ずつ送ってもらう。酢は、赤酢2種と米酢1種をブレンド。海苔は、有明の良質な「初代 彦兵衛 佐賀のはしり」を、築地『丸山海苔店』より取り寄せる。煮切り醤油は、何種類かの醤油を合わせ、酒とみりん、削り節を入れて1週間置く。自家製の生姜は、甘酢に漬け、甘さ控えめのさっぱりした好みの味に仕上げるなど、こだわりの食材を確かな仕事で極上に仕上げる。
鮨ダネは大きく切りつけるのが特徴で、お客様から「よその店の1.5倍だね」と言われるほど。中でも、穴子に自信を持つ。豊洲市場で“穴子キング”と異名を取る1番の仲買から仕入れる長崎県対馬の穴子は、脂がのり、臭みがない。良質な鮨ダネゆえに、本来の味がストレートに伝わる塩で提供する。
日本酒は、産地や蔵元などにこだわらず、酒店と相談しながら、さっぱり辛口の定番3種に、季節のもの、希少なものなど約8種を用意。日本酒に限らず、お客様から好みやその日の気分をお聞きし、対応できるように焼酎やワイン、ソフトドリンクなども幅広くそろえる。お茶は、海苔を仕入れる『丸山海苔店』が扱う、鮨店向けのブレンド抹茶を使っている。
店内は、西村氏が“静”をイメージしてデザイナーと共に考えたデザイン。ヒノキのカウンターが高級感、清潔感を醸し出す。器は、東京・京都・イタリアで活躍中の女性作家、齋藤 有希子(さいとう ゆきこ)氏作のものや、写真家・浅井慎平氏のご子息で陶芸家の浅井竜介氏にオーダーしたものを使い、料理に彩りを添える。
客席はカウンター6席と、4名までの個室がある。「とにかく“魚”を味わっていただきたいので、例えば、つまみだけで魚をお楽しみいただく日があってもいい。常にお客様の希望にあわせて料理やお酒をお出しする。そこに自分がカウンターに立つ意味がある」と、お客様ファーストを提言する西村氏。平日に接待で来店したお客様が、週末には家族を連れて来られるような居心地の良い店『銀座 凛 にしむら』。ビジネスからプライベートまで、幅広いシーンで足を運んでいただきたい鮨店だ。
■アクセス
東京メトロ銀座線 銀座駅 東京メトロ日比谷線 銀座駅 徒歩5分