東京メトロ・広尾駅から徒歩10分ほど、六本木の西麻布交差点からすぐの場所に『天婦羅からさわ』はある。車の往来が多く、レストランの名店が数多く集まる西麻布の要のような場所でも、路地を一本入ると界隈はとても静かだ。
店主の唐澤 隆(からさわ たかし)氏は日本料理全般を学び、東京・虎ノ門の名門ホテル「ホテルオークラ」に1971年に入社。外務省「ホテル霞友会館」や韓国・ソウル「新羅ホテル」への出向を経て、日本料理の味と天ぷらのカウンターを守り、2004年まで33年間勤めあげた。そして2005年、東京の隠れ家的な場所にオープンしたのが『天婦羅からさわ』だ。「どんなふうに目の前のゲストを楽しませることができるか」唐澤氏の天ぷらはこのひと言に尽きるといってもいい。ゲスト一人ひとりの表情を見ながら、食材が最もおいしくなるベストの瞬間をのがさず提供する。
魚介類はほとんどが天然のもの。産地にこだわらず、長年の付き合いの仲買人に、その日の良いもの、店の味に合うものを選んでもらっている。エビだけは特別で、唯一養殖の車海老を使用。長崎、大分、鹿児島など、一間を通して九州ものを使用。天然ものよりも甘みや香りが強く打ち出せるという。ドリンクは、日本酒はもちろん、シャンパーニュと白ワインに力を入れており、天ぷらとワインやシャンパーニュを合わせる魅力的なマリアージュを提案している。日本酒は、唐澤氏が蔵元まで足を運んで選んだ秋田や山形のものを中心に、12~13種を揃える。
和風で落ち着いた店内にはカウンター13席。天ぷらの最もおいしい瞬間をゲストに直接手渡せるように、対面カウンターが基本で、お子様連れなどの希望があれば、テーブル席(8名)も利用することができる。天ぷらを盛る器まで、すべて唐澤氏自身が作るという徹底ぶりだ。記念日やデート、接待や会食はもちろん、小さなお子様と祖父母様、3世代の食事などの家族利用も多く、ゲストの年齢層は広い。海外ゲストのために、カウンターでの説明から英語対応が可能なのも心強い。『天婦羅からさわ』で、あらゆる世代のゲストに、素材の本当のおいしさを引き出す、天ぷらの世界を味わっていただきたい。