赤坂駅から徒歩2分。スタイリッシュなビル1Fにある『赤坂おぎ乃』は、大将の荻野 聡士(おぎの さとし)氏が腕を振るう日本料理店。暖簾をくぐり店に入ると、父親であり俳優やアーティストと多方面に活躍する片岡鶴太郎氏が描く絵画が飾られ、店内を彩る。
日本料理の実力派として注目を集める荻野氏は、高校卒業後に京都の三つ星『吉兆 嵐山本店』入り。日本料理の基礎を会得した。続いて同じく三つ星の『銀座小十』で修業。持ち前の料理センスでめきめきと頭角を現し、30歳の若さで二つ星『銀座奥田』の料理長に抜擢される。3年間研鑽を積み独立し、2020年に『赤坂おぎ乃』を開店した。
荻野氏曰く、自身の料理は「伝統のあるものを大切にする王道の日本料理」。何より季節感を大切にし、雛祭や七夕といった“節句”を料理に落とし込んでいく。「季節感が感じにくい昨今、『赤坂おぎ乃』の料理で少しでも季節や日本の文化をご紹介できれば」。盆の中いっぱいに季節を表現できる「八寸」にはより力を込める。
野菜は、荻野氏が一番と認める京都の「樋口農園」より。魚介は、全国に持つネットワークと豊洲市場の信頼のおける仲卸より仕入れる。焼き物にこだわり、オープンキッチンの中央に炭焼き台を設置。素材ごとの火入れの妙を披露する。さらには削りたてのカツオ、煎りたてのゴマなどの香りが楽しめるのもオープンキッチンならではのこと。日本酒は「十四代」といったプレミアムなものを含め、一合提供は常時6〜8種揃う。またソムリエの資格を持つ荻野氏セレクトのワインが用意され、ドリンクのバリエーションも幅広い。
店内には毎日花が生けられ、その日にしかない表情でお客様を迎える。器のほとんどは作家による一点もの。唐津土平窯の藤ノ木陽太郎氏や、主に織部焼で名高い愛知の山口真人(まこと)氏などの作品を使い、目の肥えたお客さまから高い評判を得る。カウンター7席の『赤坂おぎ乃』は、ぜひ大切な方と訪れ、ゆったりと日本の心、日本料理の真髄を味わっていただきたい。
■アクセス
東京メトロ千代田線 赤坂駅 徒歩3分