観光地として名高い富山県富山市。食材豊かな地の利を活かし、富山駅から車で約10分の東岩瀬町に店を構えるのが鮨店『GEJO(げじょう)』だ。一見すると和を感じさせない店構えも、店に足を踏み入れると木のぬくもりを感じる和風仕立て。どこにもないその新鮮さは、大将の下條 貴大(げじょう たかひろ)氏が目指す、新しい鮨店の料理スタイルにも通じる。
独創的な発想は、下條氏の経歴からもうかがえる。地元富山のフランス料理店『カーヴ ユノキ』や鮨店『鮨人』で修業後、海外へ。フランス、イタリア、スペインなど主にヨーロッパを巡り、ブルガリアではプライベートシェフを務めるなどして知見を得た。そして帰国後、2020年1月にオープンした『GEJO(げじょう)』で腕を振るう。
“自分が世界で出合ったものを、そのおいしさのまま届ける”のが下條流。食材に少し手を加え、シンプルに提供する。食材は、長野・安曇野のワサビや宮崎・高千穂のキャビア以外は、ほぼ地元富山産のものを使用。マグロは一本釣り漁師の知り合いから仕入れるので、希少部位まで堪能できる。そして何より、ジャンルにとらわれない自由な発想が下條氏の真骨頂。たとえば春から初夏にかけては、赤酢の酢飯と熾火焼きしたノドグロを「スープ・ド・ポワソン」のように煮込んだ魚のだしで提供したり、熊の骨のスープをしゃぶしゃぶと合わせたりと、〆の握りが出てくるまでに、どんなつまみが飛び出すかわからないワクワク感もたまらない。
ワインは、下條氏が訪ねたブルゴーニュやピエモンテで、日本人の作り手が活躍するドメーヌのものも置く。日本酒は、地元富山・枡田酒造の「満寿泉(ますいずみ)」がメイン。「満寿泉」の酒粕を使った料理も提供される。料理を彩る器も富山「越中瀬戸焼」や岩瀬で活躍する作家さんの作品も多数使い、富山の魅力が至るところに詰まっている。カウンターのみ8席の『GEJO』を、家族や友人、仕事やグルメ仲間との会食やデートで利用され、富山の地だからこそ味わえる、新感覚のつまみと鮨を楽しんでいただきたい。
■アクセス
富山ライトレール 東岩瀬駅 徒歩10分