大阪・上本町の歴史は古く、かつては首都が置かれた地ながら神社・仏閣が数多く残る。静かで趣のある町に一際輝くのは、2024年に二つ星を獲得した懐石料理店『幽玄』。大将の三船 桂祐(みふね けいすけ)氏は二十歳から大丸心斎橋店『味吉兆』(閉店)で修業した後、本町『味吉兆ぶんぶ庵』で腕をふるい、最後の5年間は料理長も務めあげた。その後2019年6月、満を持して独立した。
季節の味わいに重きをおいた懐石料理の食材は、大阪の伝統野菜である八尾「若ゴボウ」河内「門真レンコン」「木積(こづみ)タケノコ」などをはじめ、地元野菜や大将の故郷である九州・福岡から厳選。肉は、長期飼育により肉質が柔らかくあっさりした脂が特徴の「なにわ黒牛」を使用。福岡の米「夢つくし」は、ねばりも甘みもほどよくバランスが取れ、ゲストからも評判が高い。イチオシは、丹念に引かれただしが活きる「椀物」。天然の真昆布を、京都の名水・亀岡の湧き水に前日からつけておき、鹿児島・枕崎の本枯れ鰹節を合わせて完成させた上品なだしに、「エビ真丈」「アイナメ」「ハモ」などがしなやかに調和し、風味豊かな逸品へ。
日本酒は九州を中心に全国から15種を用意。季節に合わせ、甘み・酸味・きもと造りの味わい深いものなどがセレクトし、繊細で優美な味わいの料理との相性も抜群だ。
店名である「幽玄」は「趣深さ」という意味もあり、奥ゆかしさや落ち着きがあり、安心できる空間でありたいという想いから冠した。そして、日本文化の理念を表す言葉でもある。能や歌舞伎をイメージして赤・緑・黄の3色に染められた入口の暖簾は、染物職人・染司 よしおか(そめのつかさ よしおか)氏の手によるもの。店内は数寄屋造りの空間で、ツツジや紅葉などを楽しめる庭が望めるカウンター6席と、テーブル個室4席を用意。カウンター目の前にはレンガを積み上げたかまどと炭焼き台が施され、昔の調理場らしい趣を醸し出す。
名店出身の大将が真心込めてもてなす『幽玄』を、デートや記念日、接待、ご家族での食事などでご活用いただき、情緒感じるひと時をお過ごしいただきたい。
※世界的グルメガイド京都・大阪 2024年度版にて二つ星を獲得
■アクセス
近鉄大阪線 大阪上本町 より徒歩5分