福岡の天神駅から徒歩15分。にぎやかな繁華街から少し離れた住宅街に店を構えるのが『bekki(ベッキ)』。ビルの1階にあるが、看板はない。エントランスから通路を抜けると緑鮮やかな庭が広がり、その先にあるレストランのドアを開けると白いトーンが目に飛び込む。まるで別世界に誘われたような空間で、シェフの別城 健太郎(べっき けんたろう)氏が腕を振るう。
フランス料理からキャリアをスタートした別城氏は、イタリアに渡って各地の郷土料理を会得。帰国後は都内のイタリア料理店で料理長として研鑽を積み、2015年に故郷・熊本に『IL CASINO』をオープン。3年後の2018年には一つ星を獲得するほどの人気イタリア料理店となった。その3年後、さらなる飛躍を求めてマーケットの大きい福岡に2号店を開店。店名には自身の名前を冠した。
料理は、1号店の『IL CASINO』のイタリア料理からさらに飛躍させた、四季折々の日本食材を使ったイノベーティブのおまかせコース1本。リピートのお客様には、極力同じメニューをお出ししないのがポリシーだ。食材は地産地消にとらわれず、希少部位も入手可能な滋賀「近江牛」や岩手「短角牛」など日本全国の肉を。また海外からも仕入れる。魚介や野菜は九州のものを使う。人気メニューの「手打ちパスタ」は、千葉の農家から仕入れる小麦のセモリナ粉による、そばのように歯切れの良い食感が特徴だ。
コース料理に寄り添うドリンクは、ソムリエがセレクト。イタリアをはじめフランスやニューワールド、日本のワインや日本酒をおり混ぜ、一皿に一杯を楽しむペアリングがおすすめ。日本酒は、新政酒造で『bekki』オリジナルの日本酒を作るほどのこだわりようだ。また、自家製ハーブティーや有機ぶどうジュースといったノンアルコールも用意している。
カウンター11席の店内からも眺めることのできる庭は、今をときめく建築家・隈研吾氏とチームを組むなどして活躍する植栽のプロ集団『SOLSO』に依頼。収穫して料理にも利用できるハーブも植え、自然豊かなグリーンに1年中癒される。
カトラリーは、福井の龍泉刃物の「アシンメトリー」で揃え、器は九州の陶芸作家や木工作家にオーダー。
食材、空間、器と、レストランのあらゆるポイントにこだわりが尽きない『bekki』を、家族や友人、同僚、カップルなどで利用され、一つ星シェフによる真骨董を堪能していただきたい。
■姉妹店『IL CASINO(イル カジーノ)』はこちらです。
■アクセス
地下鉄空港線赤坂駅4番出口から徒歩10分