東京メトロ六本木一丁目駅から徒歩10分ほどのところにある麻布台、外苑東通りから植木坂へ入ってすぐのビルの2階に『パトゥ』はある。2020年8月、神戸から麻布台に移転しし、新たなスタートを切った。神戸時代は中山手通にあり、季節の食材の良さを味わえるフランス料理店として名を馳せた。
シェフの山口 義照(やまぐち よしてる)氏は1967年生まれ。神戸『コム・シノワ』、札幌『コート・ドール』、東京『コート・ドール』を経て渡仏。1999年神戸に『パトゥ』を開業。2003年に神戸・中山手通に移転し、今回の東京移転となった。
店名「パトゥ」とは、ピレネー犬「パトゥ」から。家畜の群れや羊飼いの家族をクマやオオカミなどから守る家畜護衛犬であるピレネー犬は、フランスのピレネー地方が発祥で、現地では羊飼いとう意味をもつ「パトゥ」という名前で呼ばれている。真っ白な犬種の純粋さや誠実さはそのまま、山口氏の目指す料理世界と重なる。
料理は季節によって変わる、そのときどきの旬の食材を生かしたフランス料理だ。良質な食材はベテランシェフならではの付き合いの深い生産者から、信頼できるものが届けられる。春はホワイトアスパラや仔羊、夏には「桃とセロリのスープ」や「タチウオとジャガイモ、フォアグラの重ね焼き」、冬はジビエなど、どの季節にもそれを目がけて訪れるファンがいる。シンプルな中にも奥深さをもつ料理は、ゲストの想像するフランス料理らしさを裏切らない。
ワインはフランスの各地方のものを中心に、料理にあるブルゴーニュを多めにそろえる。
皿もジャン・ルイ・コケ(フランス)ほか白い器で統一、食後に温かな満足感を残す。
白い壁に木目を生かした食器棚、白いテーブルクロス。神戸時代のイメージそのままに、フェミニンなイメージの店内は2名×3卓、4名×1卓の小ぢんまりしたつくり。シェフとマダムの二人で目配りできるサイズが安心感をいだかせる。接待をはじめ友人同士やデートなど、また美食の集まりにも向いている。
店内に入るとグラス収納棚の下の陶器のピレネー犬が、ゲストを出迎えてくれる。
シェフの料理とマダムのあたたかいもてなしが、「パトゥ」でのひとときをより印象深くしてくれるにちがいない。
■アクセス
南北線六本木一丁目駅2番出口より徒歩7分