日本三名園の一つ、岡山後楽園や岡山城などの観光地として知られる岡山県岡山市。岡山駅から市電で15分程の城下町電停近くに店を構えるのが『喰切料理 八方』。地元岡山で日本料理の重鎮として知られる大将の羽村 敏哉(はむら としや)氏が、腕を振るう。
羽村氏は、大阪の日本料理店で5年間修業後、帰郷。1984年に岡山で日本料理店『ひな市』を開き、その後は各地で日本料理店を展開。そして2018年、自身の集大成とも言える日本料理店『喰切料理 八方』をオープン、有名グルメガイドで二つ星を獲得した。
「喰切料理とは、大阪をはじめとする関西で発展したカウンター割烹のスタイルの料理。過度な飾りを施さず、素材を生かしたおいしいものだけをお出しするので、食べ切って皿の上に何も残らないというもの。カウンター越しにお客様とやりとりしながら一期一会の料理でもてなす」と羽村氏。両親が西大寺で営む料理店の屋号『八方』を店名に冠し、長年こだわり抜いた味と技でお客様を魅了する。
お米は朝日米など厳選した岡山県産のものを使用。瀬戸内が誇る小魚を使った自家製の魚醤も人気だ。岡山が発祥と言われる希少な「青ウナギ」は最上級のものを入手し、蒸さずに地焼き。かたい皮目を、炭火の遠火で40分かけて焼き切るという手間暇かける一品だ。
また岡山県産の食材の他、九州のクエや北陸の加賀野菜など、羽村氏自身が足を運んで出会った生産者から全国の厳選食材が届く。要となる出汁には北海道利尻から取り寄せる真昆布を惜しげもなく使う。看板料理の「すっぽん椀」は、長崎のお茶畑の側で茶葉を食べて育ったすっぽんを、コクとうま味たっぷりの椀に仕立てる。
日本酒は、「燦然」「多賀治」「大典白菊」といった岡山のものを中心に、山形「十四代」、三重「而今」、福島「飛露喜」など全国の銘酒をそろえる。
ヒノキ一枚板のカウンターの奥には氷庫が置かれ、鮨店を彷彿させる店内。「器もごちそう」と話す羽村氏が収集する器は、骨董から地元岡山の備前焼や柿右衛門などの有田焼、中国の染付までそろい料理を彩る。客席はカウンター(8席)と個室1室(8名)を用意。とある日には“プロポーズのシーンにも遭遇”といった、特別な日の利用に欠かせない日本料理店だ。
喰切料理とあたたかいおもてなしが、思い出作りに一役買うことは間違いない。
■アクセス
岡山駅より徒歩14分