日本海沿岸で米どころとしても知られる新潟。新潟駅からタクシーで約10分の歓楽街に店を構えるのが『鮨はたけやま』。寿司職人である父のDNAを受け継ぐ店主の畠山 正義(はたけやま まさよし)氏が、新潟の魅力を寿司ダネに込める“新潟前”寿司を届ける。
岩手県出身の畠山氏。北海道札幌の老舗名店「すし善」で修行を積み、その後上京。いくつかの寿司店で研鑽を積み、2017年に女将の故郷である新潟に居を移し、『鮨はたけやま』を開店。弟の義春氏は新橋『割烹 山路』を営んでおり、料理人のDNAは脈々と受け継がれる。
メニューはおまかせコース15,730円(税込)一本立てとなっており、お料理が数品と握りが7〜8貫提供される。予約の際に食べられないものを伝えれば、その食材を外した内容でコースを構成してくれる。お料理とお寿司には味を追求し、細部にわたって手間隙がかけられている。
気さくな大将の説明を聞きながらの舌鼓も楽しみのひとつ。
シャリに使用される米は新潟・佐渡の新米コシヒカリを使用。一粒一粒がしっかりしているところが大きな魅力だが、米飯用のため粘り気が強くシャリとして美味しく炊き上げるには季節ごと細心の注意を払っての水分調整が要となる。シャリ酢にはとても貴重な無添加自然発酵の赤酢を使用しており、丁寧に調味することで香り豊かな『鮨はたけやま』ならではのシャリが出来上がる。赤酢のシャリは刺激が強くて苦手という方も、このまろやかな味わいと芳醇な赤酢を食せば赤酢へのイメージが変わるだろう。
食の宝庫新潟だけあって天然車エビや特大南蛮エビ、ズワイガニ、毛蟹、フグ、鮑といった地元食材をふんだんに使い、握りは“新潟前”を目指す。『鮨はたけやま』のこだわりとして握りのシャリは小さめだがネタは身圧でボリュームがあるのが特徴。選りすぐりの魚介類の持つ旨味と力強さを味わって欲しいという大将の願いが握り一貫一貫に込められている。新潟の中でも希少な特大南蛮海老は圧巻の4本のせとなっている。口いっぱいに頬張れば極上の南蛮エビだけが持つ甘みやねっとり感を余すことなく堪能できるだろう。新潟では獲れないウニは貴重な北海道の無添加ウニを仕入れており、地元食材以外のネタにも決して手を抜かない。
また『鮨はたけやま』の握りは多種多様な薬味が使われていることも特徴のひとつと言える。
鮑やあんこうの肝のペースト、熟成玉ねぎ、柚子胡椒、黒七味唐辛子、和辛子、紅葉おろし、木の芽、白胡麻ペーストなど挙げればキリのない豊富な薬味の中から、それぞれの握りが最大限美味しさを発揮できるよう、神経を注ぐ。丁寧な仕込みから始まり、計算された隠し包丁、薬味の選定に至るまで握り一貫にかける工程は繊細かつ緻密。完成した握りは寿司の一貫に留まらず一つの一品料理と言える。
コースの〆のオリジナルのお稲荷さんは、優しく上品な味わいのだしで炊いた油揚げで干瓢巻きをくるくると巻いたスペシャリテと言える一品だ。 またお任せコースには含まれないが店主の修業先であるすし善が発祥の「トロたく巻」も名物のひとつ。本家本元の技を受け継いだトロたく巻きもコースの後におなかに余裕があれば味わって欲しいひとつである。
お寿司やお料理をさらに美味しくさせる立役者として、日本酒は「鶴の友」「金鶴」「鄙願(ひがん)」「あべ」など貴重な地酒が揃っている。メニュー以外にも常におすすめの日本酒が入れ替わり、その豊富なラインナップが楽しいひと時に彩りを添える。ワインはナチュールワインが中心となっている。
凛とした雰囲気ながら、畠山氏の笑顔で和やかな空気を醸し出す店内は、カウンター(6〜7名)とテーブル席(4名)を用意。
奇しくもグルメ雑誌などにおいては未だノンタイトルの『鮨はたけやま』ではあるが「美味しい」だけにとどまらず、その先にある発見や驚きが随所に散りばめられた五感を刺激する寿司を家族や友人、同僚をはじめ寿司を愛する仲間と一緒に味わっていただきたい。
※お料理や握りの内容は季節や仕入れにより変動します。
■アクセス
新潟駅万代口からタクシーで10分
お店からひとこと
トロたく巻はおまかせコースに含まれておりません。
ご希望の場合はコースの後に追加ご注文で承ります。
店主にお気軽にお申し付けくださいませ。