京都・東山駅より徒歩5分。平安時代より伝わる青蓮院門跡近くに店を構えるが、日本料理店『青蓮院門跡前 月おか』。京都の風情あふれる一軒家料理店で、大将の月岡 正範(つきおか まさのり)氏が腕を振るう。
北海道出身の月岡氏は、15歳で札幌・すすきのにある郷土料理店で料理人としてのキャリアをスタート。その後、名古屋をはじめ京都や東京で修業を重ねるうち、京都『草喰 なかひがし』の大将、中東 久雄氏に出会った。中東氏の日本料理に対する思想に感銘を受け、『草喰 なかひがし』入りし研鑽を積む。そして2010年、滋賀・草津『滋味 康月』の料理長に就任。予約困難な人気店に押し上げると、今度は日本料理を海外へ広めたいと渡米。その後2021年に自身の名前を冠した『青蓮院門跡前 月おか』を京都・東山にオープンした。
季節の移ろいを感じてもらうため美山や大原まで毎朝足を運び、自らの手で山菜を摘み、農家を訪ねて野菜を仕入れる。駆けまわって食材を調達しおもてなしをするという、まさに“馳走”だ。カウンターの奥には“おくどさん”が設けられ、こだわりの食材を炭火焼きする。人気の白いごはんは、無農薬の新潟のコシヒカリを毎日使う分だけ精米し、土鍋で炊かれるのでお米のうま味をしっかり感じることができる。
八寸から始まるコースメニューのメインは「十勝若牛の炭火焼き」。月岡氏の故郷・北海道十勝育ちの若牛を、滋賀県草津の人気精肉店「サカエヤ」が仕立てるもの。「14ヶ月齢の若い男の子のホルスタインを30〜40日ほど熟成。サーロインかリブロースを使うが、うま味も香りもある。」と月岡氏は大絶賛。ニューヨークで熟成肉の素晴らしさに触れ、帰国後に探し当てたのが「十勝若牛」だったという。おくどさんの炭どこで焼き上げた「十勝若牛」は、ポルトガルの海塩のみで味付けされ、季節の野菜を添えて提供される。
ワインは、ソムリエの資格を持つ女将のセレクトによる、フランスを中心とした90種以上を用意。日本酒は月岡氏が滋賀県時代にご縁のあった「松の司」「七本槍」ほか、京都や三重など全国の銘酒から10種を常時揃える。
カウンター(8席)の奥には古美術やお茶碗などの展示スペースがあり、まるで美術館のような店内。料理を彩る器は、現代作家さんの器や、15〜17世紀の古陶磁ものが多数揃う。
趣のある日本料理店『青蓮院門跡前 月おか』は、日々の食事の席でももちろん、記念日やお祝いといった特別な日に利用されるのにも最適な場所ではないだろうか。
■アクセス
京都市営地下鉄東山駅より徒歩5分