青森県南東部、JR本八戸駅から車で15分。最寄りのJR八戸線白銀(しろがね)駅から徒歩20分ほどの住宅地に、明るいイタリアの陽光を思わせる明るい茶色とレモンイエローの壁の店がある。2011年開業の『カーサ・デル・チーボ』は、店内に一歩入ると、シックな内装のカウンターと白いテーブルクロスのかかったテーブルが迎えてくれる。
シェフは池見 良平(いけみ りょうへい)氏。エコールキュリエール国立在校中に渡仏、フランスで料理の基礎を学ぶ。地元神奈川のフランス料理店を経てイタリア料理に転向、『エノテカピンキオーリ』、『ダノィ』、『インコントロ』など都内のイタリア料理店で経験を積み、ソムリエールのマダム、池見 悦子(いけみ えつこ)氏の地元である青森・八戸で『カーサ・デル・チーボ』をオープンした。
料理は主に魚介類を中心に、八戸の食材を用いて、シンプルでかつ洗練された仕立てを意識する。どれだけ少ない食材でゲストの心に残る料理を作れるか。その思いから生み出された料理のひとつがシェフのスペシャリテのひとつ「タコのアフォガート」。イタリア南部・ナポリの郷土料理「タコの溺れトマト煮」をベースに、タコとドライトマトでだしを取り、あまり煮込み過ぎず視覚的な美しさも意識する。ミズダコは、漁師から市場に出荷する前に直接買い付ける。こんなに良いものがあるのかと驚いた思い入れのある食材の一つだという。他にも、地元でとれたウニやアワビを用いたパスタもスペシャリテとして提供している。肉類は青森の名産食材の一つ「銀の鴨」や地鶏「青森シャモロック」、国産では珍しい飼育のイノシシなどを使用。料理としての洗練度や色合いの美しさも意識して、華やかな仕立てを心がけている。
ワインは主にイタリアのもので、料理に合うことを主眼に、シェフと同様エコールキュリエール国立を卒業した悦子氏が選定。ワインペアリングを設定、1皿に1杯のフルペアリングのほか、量のみ半分、または杯数を減らすなどの相談にも応じてくれる。
2020年に全面改装されてシックにトーンを落とした雰囲気の店内には、カウンター4席、個室2室と半個室が1室。県内外から、親しい人の記念日を祝う集まりや家族連れやデート、また池見氏の料理を味わること目的としたひとり客も多く訪れる。お子様連れのゲストは2つの個室に案内。基本的には静かに料理を楽しめる小学生以上のお子様を対象としている。
『カーサ・デル・チーボ』とはイタリア語で「美味しい食べ物の家」という意味だ。住宅地の一軒家のアットホームな雰囲気と落ち着いて食事がいただけるシックな内装。シンプルな仕立ての中に池見氏の技術力が光る、また軽い驚きが生まれるような料理。『カーサ・デル・チーボ』で、その親密なひとときを味わっていただきたい。
■アクセス
JR八戸線白銀駅より徒歩20分またはタクシー