九州の玄関口・JR博多駅から地下鉄で2駅、中洲川端駅から徒歩2分ほどの交通至便な場所にあるビル。その2階に『中洲 松 (なかす まつ)』はのれんをかかげる。那珂川と博多川にはさまれた中洲地区は、小ざっぱりと整備され、市街地としては開放的な雰囲気をたたえている。
2022年7月に開業した店を守るのは、国内の名店で修業した地元福岡の幼馴染み同士だ。オーナーソムリエの松永 新一朗(まつなが しんいちろう)氏は名古屋の二つ星フランス料理『レミニセンス』で7年の勤務経験があり、料理長の青木 卓巳(あおき たくみ)氏は調理師専門学校を卒業後、大阪の二つ星の日本料理『本湖月』で11年間修業。二人は福岡の同じ小中学校に通っていた間柄で、松永氏が独立を機に青木氏を料理長に迎え、2022年7月『中洲 松』を開業した。
料理は青木氏が『本湖月』でつちかった日本料理で、食材は主に九州のものを用いる。福岡の魚介類を取り扱う長浜鮮魚市場は、全国の漁港の中で4年連続漁獲高1位の記録を持つ。『中洲 松』でも天然海ウナギや近海のハモ、また青木氏が毎朝仕入れに行く糸島の野菜や水、熊本産ヒノヒカリなど九州のコメを使用。純日本料理のコースは先付から始まり8~9品。〆は、茶道の心得がある青木氏が点てるお抹茶を提供する。
ワインのラインナップはオーナーソムリエの松永氏が力を入れた部分。1300本近くあるワインの在庫は、日本料理店としてはまれだ。シャンパーニュとブルゴーニュを主体に世界各地域のものを網羅。近年評価が上がってきた日本ワインも含まれる。ペアリングの設定はあえてせず、ゲストが飲みたいものを選んでもらう。ワイン以外では九州の地酒を数種類用意している。
シックで和モダンな内装の店内には、横一線のカウンターで目の前で調理するライブ感をどの席からも楽しむことができる。料理を提供する皿とワイングラスにもこだわり、唐津で買い付けたお皿やロブマイヤーなど、できるだけ上質なもので楽しんでほしいという思いをこめる。早い時間はコース、遅い時間は料理とお酒を1杯、ひと皿から楽しめる使い勝手の良さも工夫されている。
福岡の季節の移ろいを皿の上に映す料理とワインを思い思いに楽しめる『中洲 松』。親しい人とのくつろげるひとときを、ぜひこの地で楽しんでみてはいかがだろうか。
■アクセス
中洲川端駅から徒歩2分