六本木通りを一本入った閑静な住宅街に店を構えるのが『明寂(みょうじゃく)』。京都、徳島、東京の日本料理の名店で研鑽を積んだ中村 英利(なかむら ひでとし)氏が、満を持して2022年4月にオープンした。
店名にある“明寂”に、中村氏が貫く料理の概念が表される。「寂(さ)び」の字に当てられる「然(さ)び」は、ものの本質を示し日本的美意識と重なる料理の到達点。中村氏は食材が本来あるべき姿があらわれるように、素材への深い洞察力・確かな基礎力、しなやかな感性で料理を生み出す。そして「調和・淡・清らか」を大事に、日々食材と真摯に向き合い試行錯誤を繰り返す。
中村氏の料理は、「水」に想いや記憶が残るように心がけている。
挨拶がわりの一皿目は「野菜の水煮」。京丹後の酒蔵の仕込み水、石川県金沢の酒蔵の仕込み水、西麻布で汲み上げている地下水の三種を使い分け、こだわりの塩に季節の野菜のみを使った逸品だ。十割の「手打ちそば」は、石川県のそば粉に合わせて石川県金沢の酒蔵の仕込み水を使用する。初めてのゲストに提供される「スッポンの丸揚げ」は、好評で2回目以降もリクエストが絶えないスペシャリテとも言える人気の一皿。またリピーターには、同じお品書きにならないようにするのが中村流だ。
ドリンクメニューはソムリエの中野 裕菓(なかの ゆか)氏がセレクト。日本酒は、中村氏の料理に寄り添う島根「天穏(てんおん)」をはじめ、全国の季節の日本酒30種を置く。ボトルのワインは、シャンパーニュ(20種)をはじめブルゴーニュ中心の赤(30〜40種)白(25種)。水だし煎茶・加賀茶といったノンアルコールも用意される。
名店を手がける建築士・木島 徹氏による店内は、シンプルながら凛とした枯淡な空間がゲストを迎える。カウンター8席、個室2室(4名・6名)にカウンター個室(7名)があり、あらゆるシチュエーションにも対応できる。家族や友人、仕事仲間、カップルなどで『明寂』をゆったりと堪能いただきたい。
※世界的グルメガイド東京 2023年度版にて二つ星を獲得
■アクセス
東京メトロ日比谷線六本木駅より徒歩8分