港町でありながら「兵庫県庁」を擁し、政治、経済の中心地であるの中心街、三宮。三ノ宮駅から徒歩10分、山手幹線に面したビルの2階に『entre nous(アントル・ヌー)』はある。店内に入ると、伝統的な土壁と明るい木材からなる温かみのある内装に迎えられる。店名は「私たちだけの秘密(の場所)」という意味で、フランスを代表するシェフレジス・マルコン氏が名付けた。シェフとゲストが料理を通じて親密な関係を築き、心温まるひとときを過ごしてほしいという思いがこめられている。
シェフ高山 英紀(たかやま ひでき)氏は18歳で料理の世界に入り、東京・京橋『シェ・イノ』で8年間の修業を経て渡仏、『ラムロワーズ』や『レジス・エ・ジャックマルコン』などフランスの三つ星で腕を磨いた。帰国後『メゾン・ド・ジル 芦屋』料理長に就任、『メゾン・ド・タカ 芦屋』を経て、2022年10月に神戸三宮に『アントル・ヌー』をオープン。高山氏はシェフとして料理の腕を振るう一方で、2015年、2019年と2度の料理国際大会「ボキューズ・ドール」で、世界で5位を獲得した実力者だ。また、高山氏が台北で監修する『Paris 1930 de Hideki Takayama』は、世界的グルメガイドで一つ星を獲得している。
高山氏の料理は、日本らしいフランス料理だ。食材の9割以上を、日本食材を用いて日本のテロワール(気候や地形が織りなすその土地ならではの環境や空気を生み出す)を表現している。兵庫・明石の鯛や、丹波栗など近隣の特産物をはじめ、日本国内の食材を柔軟に取り入れる。スペシャリテのひとつが、ムースリーヌ「折り紙」だ。2種類の人参を日本古来の紋様である青海波模様に重ね、上部のメレンゲの上に日本庭園を再現し、スイーツのような色鮮やかなオレンジと黄色の模様が入った一品。
料理に合わせるワインはフランスワインを中心に約7,000本をストック。アルコールペアリングは3種類、中にはグランヴァンでのペアリングも提供している。また、台湾茶を用いたティーペアリングも注目の一つだ。
店の中央にあるコの字のカウンターは16席、そして6名用の個室がある。カウンター席は見通しがよく、シェフの所作もよく見えリアルなライブ感を味わえる舞台のようだ。親しい人との会食はもちろん、高山氏の料理を目当てにした美食の集まりも多い。お子様同伴の場合、個室なら年齢を問わず、カウンターは小学校高学年以上であれば可能(お子様メニューも事前相談によっては可能)。
日本の食材を生かすことによって生まれた、美食の数々を親しい人と分かち合う楽しさをぜひ体験してみてはいかがだろうか。
■アクセス
阪神電鉄神戸「三宮」駅より徒歩4分
JR三ノ宮駅、阪急電鉄神戸「三宮」駅より徒歩6分