衆議院議員会館や首相官邸などが立ち並び、政治の中枢を担う東京・永田町。格式高い街並みに風情ある一軒家で店を構える『永田町 鮨かねさか』は、2022年7月にオープンした。店主の大隅 達(おおすみ とおる)氏は、2008年の北海道洞爺湖サミットではVIPゲストに鮨を握り、かねさかグループのマカオ店を星付きの人気店までに押し上げた立役者だ。
江戸前鮨の伝統を受け継ぐ大隅氏は、“カタチを変えずに味を変える”という温故知新を体現。毎朝豊洲市場で目利きし仕入れる最良の食材で、大隅流江戸前鮨を完成させる。おまかせコースは、つまみ6品に握り10貫。そこにゲストからのリクエストで太巻きが加わり、玉子、椀とデザートで〆る。
「とにかく米にこだわる」と言う大隈氏が使用するのは、山形県・黒澤ファームの「雪若丸」。稲刈りにも参加し、土壌や水分量など徹底したこだわりも知る中で、粘り気が少なく甘みがあり店の料理に合う「雪若丸」を選んだ。酢飯の酢は、ヨコ井の醸造酢5種(白4+赤1)をブレンド。通してブレンドは変えず、鮨ダネによって最適な温度を追求し提供する。
アワビに酢飯を足し、キモのソースで和える「アワビのリゾット」は看板メニュー。低温調理を用いて、柔らかくうま味たっぷりな煮ハマグリの握りも人気。また、笹の葉に包んで蒸す伝統的なスタイルで提供するアナゴも好評だ。日本酒は季節のもの等、常時10種ほど。ワインはシャンパーニュをはじめ、赤・白をボトルで用意する。
シックでモダンな店内は、マカオ店も手がけた建築士によるもの。店内には、師範免許を保持する大隈氏が自ら生ける花が、季節の移ろいを感じさせる。「生花は聖徳太子の時代からと聞く。聖徳太子が日本初の憲法第1条の中で示した『和を以て貴しとなす』という和の精神は、“他をいかして共に生きる”こと。鮨の世界にも通じるものがある」と感じ、華道を始めたと言う。
鮨の付け台は、親交のある三島焼きの作家に焼いてもらったもの。湯呑み茶碗は、今戸焼の9代 ・白井半七氏作。古伊万里といった骨董もあり、アンティークバカラのグラス、フランス製アンティークスプーンなど、器からカトラリーまで、趣あるものを厳選。1F はカウンター8席。2Fは、貸切に使用できる L字カウンター8席が用意されている。家族や友人、仕事仲間、カップルとさまざまなシチュエーションで利用し、大隈氏のこだわりの味+設を満喫してはいかがだろうか。
■アクセス
国会議事堂前駅5番出口より徒歩2分
溜池山王駅5番出口より徒歩2分