福岡県の博多南駅より車で約15分。小高い丘の1000坪もの敷地内に建つレストランが『MAISON LAFITE (メゾン ラフィット)』。オーナーシェフの工藤 健(くどう けん)氏が腕を振るう。
工藤氏は、福岡市内のホテルやレストランで勤務後、渡仏。ロレーヌ地方の星付きレストランで研鑽を積み、帰国し独立。故郷の那珂川(なかがわ)市で里山の風景が望める理想的な場所に念願のレストラン『MAISON LAFITE』をオープン。“土地に根づいた料理”をブレる事なく提供し続け、一つ星を獲得する人気店となった。
予約は昼夜ともに2組のみ。里山に流れる時間と寄り添うように、コース料理はオードブルからデザートまでの12〜13品を3時間ほどかけて提供される。食材はほぼ九州地方のもの。魚介は、ハモは大分県宇佐市や中津市、タカエビは鹿児島阿久根といった近港から仕入れる。野菜は鮮度を第一に、地元・那珂川市のものや自家菜園で育てたものを、井戸で汲み上げる湧き水で洗って使用。かつては蕎麦店も軒を連ねたほど、地元の湧水は良質なことで知られ、工藤氏は、“ここの水と食材”があってこそ、自分しか作れない自分の味が生まれるのだと言う。野菜やハーブをふんだんに用いた絵画のような彩りと、酸味や苦味と旨味を合わせる構成の巧みさは、工藤氏の料理の真骨頂だ。その料理は窓の外の里山の風景とも相まって、ゲストに鮮烈な印象を残す。
那珂川市のテロワールが作り出す食材を、工藤氏がその日その時のインスピレーションで構成。唯一無二のメニューで食材のうま味を表現する。例えば肉料理では、米を飼料とする牛肉はその肥育地にある稲わらで焼き上げる、といったストーリー性も大切にしている。
店内のワインセラーには、主にブルゴーニュワインがストックされ、出番を待つ。工藤氏が好む有名どころの作り手のものが多く揃えられており、料理に合わせたペアリングのオーダーもおすすめだ。また、ノンアルコールでも十分楽しむ事ができるように、自家製ドリンク等を豊富に揃える。
大開口窓で里山の風景と一体化するレストランは、工藤氏自身が設計。白を基調に木をふんだんに取り入れた店内(テーブル席6名まで)で、時間を忘れて寛ぐ事ができる。『MAISON LAFITE』を堪能するために県内外から那珂川市を訪れる、デスティネーションレストランだ。
■アクセス
JR博多南駅より車で15分
JR博多駅より車で40分