北部九州の玄関口、博多駅。ここから23年に延伸された市営地下鉄七隈線は、福岡県外から福岡市南西部へのアクセス向上を期待されるエリアだ。その七隈線六本松駅から徒歩5分、「Syn」は福岡市民の憩いの場、大濠公園のそばのビルにある(駐車場も併設)。周囲は福岡市美術館などが点在する、落ち着いた文教地区だ。
シェフ大野尚斗(おおの なおと)氏は「食のハーバード」と呼ばれるニューヨークの「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(略称: CIA)」を卒業。米国『The NoMad(ノマド)』(一つ星)、『Alinea(アリニア)』(三つ星)、国内では『recte(レクテ)』(一つ星)、またスウェーデン『Fäviken(ファヴィケン)』(当時二つ星、現在は閉店)、ペルー『Central(セントラル)』、イタリア『Droggeria della Rossa(ドロッゲリア・デ・ラ・ロッサ)』など、世界的名店から家庭的なレストランまで7か国のレストランで腕を磨いてきた。バックパックに包丁とわずかな調理道具を詰めて訪れた国はこれまで約42か国。道中で生産者と出会い、また訪れた土地のレストランで働き料理の哲学や技術を学ぶ。この人生は、ドキュメンタリー番組としてテレビで放映された。また2022年には35歳以下が対象の若手料理人コンテスト「RED U-35」ファイナリストに選出された。
料理のコンセプトは「キュイジーヌ・ヴォヤージュ」。旅と料理を生きる支柱とし、これまで出会ってきた人や文化から受けたインスピレーションを料理に投影。フランス料理の技術をベースに、各国の郷土料理や家庭料理のエッセンスも取り入れ、軽やかに仕上げる。メインで提供する牛肉をバターでエイジングさせる技術も、海外で取得した技法の一つだ。
食材は、これまで旅で出会った生産者から直接仕入れるものが多い。国内では北海道瀬棚・曽我井 陽充さんのトマト「シゼントトモニイキルコト」、愛媛県ゆうぼくの里「はなが牛」(ジャージー牛)、北海道厚沢部町・ジェットファームの長谷川博紀さんのアスパラガスなどを取り扱う。また海外ではイタリア・ピエモンテのヘーゼルナッツやトリュフ、海外で直接買い付けてきた食材や調味料も使用する。
ドリンクは、ワインはブルゴーニュの古酒からナチュラルワインまで、日本酒やウイスキー等、日本をはじめ世界各国から選び抜かれたものをセレクトし、ペアリングも提供する。
木の温もりを生かしたモダンな内装の店内には、プリミティブな小物をアクセントに、リラックスできる空間を目指す。カウンター10席、個室は1室6名。お子様は16歳以上、大人と同じ食事ができる年齢からとなる。海外ゲストにはシェフによる英語説明が可能。
ゆるやかな曲線を描く木目の扇型カウンターからは、すべての席からシェフの所作が見える。デートや親しい人との会食はもちろん、老若男女、国籍問わず食を愛する人にぴったりだ。店名の『Syn』は「シンフォニー」「シンクロ」など「共に」という意味をもつ単語から。旅に出かけるような楽しい世界を『Syn』でぜひ味わっていただきたい。
■アクセス
七隈線六本松駅より徒歩5分