東京・神楽坂、「毘沙門天 善國寺」からほど近い場所に店を構える『中国名菜割烹 つる見』。オーナーシェフ・鶴見英雄(つるみ ひでお)氏の独自の調理技術で作る料理を求めて、国内や海外のさまざまなレストランを食べ歩いた人たちが、最終的に訪れていると言われる隠れた名店だ。
鶴見氏は、12年間『銀座アスター』で研鑽を積み、新宿の系列店で副料理長を担当。その後、中華料理店を中心とした企業で総料理長を務め、独立して東京・上野に『富貴花(フークイファー)』を開業。5年半営業し、病気のため閉店を余儀なくされるが、4年10ヶ月の時を経て、「修業時代、私に調理技術を教えていただいた宮廷料理の先生たちに恩返しをするため、いままで教わってきたことを伝えていきたい」という想いから、2016年2月に『中国名菜割烹 つる見』をオープンした。
鶴見氏の料理は15年以上前から化学調味料を使用せず、小ポーションで提供しているのが特徴。なかでも名物となっているのが「アワビの六回騙し煮込み」。水に甕出しの紹興酒、塩を加えたものに活きのアワビを入れ、ゆっくりと火を入れて少し冷ますという工程を、2〜3日の間に最低でも6回行なっている。この火入れ方法により、アワビが柔らかくなり過ぎず、身の味や磯の香りを感じながら、食べた時に跳ね返ってくるような独特の食感を楽しむことができる。そのほか、常連客から人気なのがスープ料理。栄養素と食材の色合いから献立を立てていく鶴見氏ならではの一品で、「豚のスペアリブの蒸しスープ」「冬瓜の姿蒸しスープ」「キノコのスープ」「スッポンのスープ」など、野菜、肉、薬膳を巧みに使い、素材の味を感じる優しい味わいに仕上げている。
店内は6席のカウンターをメインに、6名まで着席できるテーブル席も用意。カウンター席は、鶴見氏の調理の手捌きを見られるだけでなく、30年のキャリアを積んだ鶴見氏から直々に料理の解説を聞くことができる特等席となっている。「美味しかったよりも、いい時間を過ごせた言われるような空間を作るのが僕の信念です」と語る鶴見氏。いままでに体験したことのない素材本来の美味しさや、これまで知ることのなかった中国の食文化など、プラスアルファの満足感を得られる中華料理店だ。
■アクセス
JR「飯田橋」駅より、徒歩5分