JR函館駅より車で約5分。市電の十字街駅からは、二十間坂を登って徒歩5分の一軒家レストラン『maison FUJIYA Hakodate』。北海道・函館の中でも一番の観光地である元町で、オーナーシェフの藤谷 圭介(ふじや けいすけ)氏が腕を振るう。
“北海道の藤谷シェフ”と言えば、食通の間でもその名を知られる敏腕シェフ。北海道・江差町の漁師の家庭で育った藤谷氏は、幼い頃から魚に親しみ、料理に興味をもつ。人気のテレビ番組「料理の鉄人」に憧れて、番組を監修していた服部栄養専門学校に入学。卒業後は、東京の日本橋浜町『ル・ブション』、有楽町『アピシウス』など伝統的なフレンチレストランで修業。フランスで経験を積んだ後、札幌『フレンチレストラン バンケット』のスーシェフを経て、札幌『レストラン コートドール』の3代目シェフとして7年間勤務し、世界的グルメガイドの一つ星を獲得するまでに店を押し上げた。そし2017年、札幌『オプトゥニールケイ』オープンと同時にシェフに就任。約3年後に独立し、2020年、オーナーシェフとして『maison FUJIYA Hakodate』をオープンした。
ここは、「札幌『レストラン コートドール』のシェフとして一つ星を獲得した後、初めて出張料理をした場所のすぐ隣。いつかこういうロケーションのもと、自分の店をもてたらいいなと思っていた」と語る藤谷氏にとって、思い出の地であり、夢がかなった場所でもある。そして函館は、食材の宝庫だ。「函館の市場は、近港であがった魚が生簀で泳いでいて、しめる段階から自分が携わることができ、料理人冥利に尽きる。」さらに、「“地域と生きる”という意味も含めて、道南の食文化がさらに良い文化になるように、生産者と一緒に歴史を刻んでいきたい」と藤谷氏。扱う食材は、北海道の中でも道南産をメインとし、知内町の牡蠣、地元・江差町のサクラマスに、函館名物のさまざまなイカ、津軽海峡や噴火湾であがる毛ガニ、アナゴ、帆立貝、ホッキ貝、そして七飯町の「王様シイタケ」など。極上の食材を存分に活かし、お客様の記憶に残るコースを構築する。
料理に寄り添うワインペアリングにも、“メイド・イン・函館”を世界に発信できるものにしていきたいという藤谷氏の強い想いが込められている。函館元町の有名なワイナリー『農楽蔵(のらくら)』や、函館の桔梗という地域でブルゴーニュの著名銘醸家『ドメーヌ・ド・モンティーユ』の当主・エディエンヌ氏が始めたブドウ造りを、『maison FUJIYA Hakodate』のソムリエが手伝いに行くなど、フランス産の正統派ワインから北海道産ワインまで、情熱をもって携わるのが藤谷氏の信条。道南産の日本酒も料理に合わせて登場する。
白を基調にした開放感ある店内には、カール・ハンセン&サンの木目調の椅子と白いクロスがかかるテーブルが置かれ、料理と絶景が溶け込むナチュラルな雰囲気。器は、小樽や洞爺湖のガラス作家にオーダーしたものや、有田焼、フランス「ジャン・ルイ・コケ」など、幅広いバリエーションで料理を引き立てる。客席は全30席。テーブル席と10名までの半個室が用意され、1階にはカジュアルに利用できるビストロを併設。『maison FUJIYA Hakodate』には、記念日やお祝いなどの特別な日に、家族や友人・仕事仲間と訪れ、“メイド・イン・函館”を堪能していただきたい。