東北新幹線の水沢江刺駅から車で約10分。岩手県奥州市の中心部にある『日本料理 新茶家(しんちゃや)』は、1850年(嘉永3年)より続く日本料理店。七代目の和賀 靖公(わが やすたか)氏が老舗ののれんを守りつつ新風を吹き込み、時代の先を見据える。
『日本料理 新茶家』の七代目として生を受けた和賀氏は、大阪あべの辻調理師学校卒業後、京都『瓢亭』『柊家旅館』で腕を磨き、帰郷。2015年に『日本料理 新茶家』入りし2018年より料理長を務める。
先代が切り盛りする中、和賀氏は自身が思い描く店の設えや品書きのアイデアを取り入れ、少しずつ変化させていったという。広大な土地を有する岩手県は食材の宝庫。主に岩手大船渡・宮城塩釜漁港を中心に直送される豊富な魚介類をはじめ、春は山菜・秋はキノコを自ら山に採りに行くことから食材へのこだわりも感じられる。
岩手県は魚介のみならず、「いわて短角牛」や江刺「梁川(やながわ)羊」、花巻「ホロホロ鳥」も名産として知られ、12品ほどのコースの中に必ず一皿の肉料理が加わる。さらに岩手県らしく、牛肉や羊肉などは、最初に「南部鉄器」で焼いた後、炭火で火入れをほどこす。また、マツタケも土瓶蒸しではなく、「南部鉄器」で提供することにより短時間で蒸すことができる。季節感あふれる「八寸」と「椀もの」には定評があり、北海道「白口浜真昆布」と、石巻のカツオブシ、マグロブシをブレンドした、だしが決め手である。
日本酒は、「AKABU」ほか、岩手県のものを5〜6種類、和賀氏お気に入りの秋田県「新政」などの東北各県の酒も数種類取り揃えている。ワインはブルゴーニュ中心に赤白を用意。ドイツビールやノンアルコールもあり充実した内容だ。
狭い路地を入ると、そこに趣ある料亭の佇まいを見せる『日本料理 新茶家』。敷居をまたぐとまず目に入るのは、時節を感じる設え。花は近くの山や庭より、和賀氏が毎日整えお客様をお迎えする。客席は100畳の大広間(〜50名)から、2名づかいできる小間まで、すべてテーブル席の個室。常に岩手県ならではの日本料理を追求する和賀氏。そのこだわりの味と空間を堪能するために、わざわざ岩手県を訪れる価値のある老舗日本料理店だ。
■アクセス
東北新幹線「水沢江刺」駅より車で12分