商業施設やオフィスビルが立ち並び、多くの飲食店が賑わいをみせている東京・立川市。活気あふれる駅前から徒歩5分、落ち着いた佇まいで店を構えるのが、『鮨きたむら』である。店主の北村直樹氏は、15歳から鮨店で修業を始め、新宿や目黒の鮨店、コンラッド東京『風花(かざはな)』の2番手として経験を重ね、2016年6月に満を持して独立を果たした。これまでの経験を活かして握る端正な鮨が評判で、周辺都市や都心からも鮨好きが集まるという隠れた名店なのだ。
鮨の基本となる酢飯には、古代米から作る赤酢の純米酢を使用し、すっきりとした味わいに仕上げる。米は粒が大きく、うま味と甘みがあって一粒一粒がしっかりしている山形産の「つや姫」を選択。食材の仕入れにも一つひとつこだわり、マグロは築地でも名高いマグロ卸専門業者「樋長(ヒチョウ)」から。また、福岡から赤ウニ、アオリイカ、アマダイ、函館からはムラサキウニやマツカワガレイなど、日本全国各地から季節ごとの旬食材を産地直送で集めている。そして、鮨は厳選した魚介類にひと手間を加えて、おいしさを生み出している。コハダ、カスゴ、ハマグリ、煮アナゴなど、伝統的な手間ひまをかけてきっちりと仕事を施した江戸前の鮨も、ぜひ味わっていただきたい。
おまかせコースは、繊細な味わいの白身のお造りからはじまり、握りとつまみを織り交ぜながら強弱をつけた構成。ゲストの食べるスピードや飲み物の進み具合にも考慮しながら、タイミングよくつまみや鮨が供される。日本酒は常時10種ほどあり、90㏄(半合)から提供しており、いろいろな種類を料理と合わせることも可能。唎酒師の資格をもつ女将が、ゲストの好みに合わせた提案も行なう。ワインはシャブリなどのスッキリとした白やシャンパーニュを用意。ノンアルコールの方には、つまみを酒に合う珍味ではなく香の物にするなど、アルコールなしでも楽しめる配慮がなされるのも、『鮨きたむら』の魅力の一つである。
客席は檜のカウンター6席のみ。手元がよく見えるようにと、カウンターよりも高い位置にまな板を置き、ライブ感のある空間に。ゆったりと構成された客席で、心ゆくまで北村氏の鮨に酔いしれてみたい。
■アクセス
JR南武線、JR青梅線、JR中央本線「立川駅」南口より徒歩5分
■西麻布『鮨 きたむら』の系列店ではございません。