広島県の東部、福山駅から徒歩約10分。商店街から少し離れ、公園や幼稚園が近くにある閑静な町の通り沿いに『中国料理 蓮華(れんか)』はある。オーナーシェフの小川 林太郎(おがわ りんたろう)氏が、その日に仕入れる最良の食材を、最適な調理法でシンプルに仕上げ提供する。
小川シェフは、地元・広島県福山市出身。料理人志望だった高校時代、日中友好協会との出会いがきっかけで、卒業後に中国へ渡る。広州市にあるホテルの厨房で、半年間広東料理を学び、帰国後は福山の大手中華料理店『又来軒(ゆうらいけん)』で12年間修業。その後、独立して『蓮花(れんか)』を開業した。さらに、自分の思い通りに料理ができるスペースを確保するために移転し、2007年、店名を『蓮華』に改めてスタート。世界的なグルメ本にも紹介される実力店となっている。
『中国料理 蓮華』は、実に〝マニアック〟なレストランである。決まったメニューを用意せず、小川シェフお任せのコースのみ。メニューには、本日の食材(海鮮類は鯛、スズキ、ヒラメなど、肉類は合鴨、どんぐり黒豚、鹿など、そ菜類は広東百菜 碧玉竹、黄ニラ、中国くわいなど)、調理法(季節野菜のスープ炒め、海鮮と野菜炒め、肉の黒酢ソースなど)と、ざっくりとした紹介が記してあるのみ。「メインの食材と、どう味付けるかさえリクエストしてもらえば、その日その時、そのお客様にとってベストなものを提供していく。いわば即興。同じものは二度とない」と小川シェフは話す。
野菜は三原の「梶谷農園」や、神石高原町で有機栽培する「こだわり農場」、そして福山「三ツ星青果 緑」などから仕入れる。海鮮は福山「島田鮮魚店」、豚肉は福山「中井精肉商会」、鶏肉は府中「中林鶏肉専門店」と、ほとんどが信頼のおける地元の生産者や業者から。使う調味料は最小限にし、ニンニクやごま油も使わず、飾らず、厳選食材本来の味を壊すことなくシンプルに仕上げる。ドリンクメニューは、圧倒的に中国茶の種類が多い。緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶など20種類以上をそろえ、季節と体調にあわせてセレクトされる。また、皿ごとのペアリングではなく、メインがディッシュが中盤にくる中国料理のコース構成にあわせ、中頃に濃さのピークがくる1種類の中国茶の表情の変化とともに楽しめるスタイル。ほかビール、紹興酒、焼酎、日本酒とワインも用意。
落ち着いた店内は、カウンター4席とテーブル(円卓6名、テーブル12名)席がある。「食べるということは、団欒、会話が生まれるツール。明日少し元気になってほしい。そのための食材選びや調理方法だ」と小川シェフ。家族、カップルで記念日や特別な日のお祝いに、また友人や食通仲間との会食、接待など、さまざまな場面で小川シェフのシンプルで味わい深い創作中国料理を楽しんでいただきたい。
■アクセス
新幹線 福山駅から徒歩10分、タクシー5分
JR山陽本線(岡山〜三原) 福山駅から徒歩10分、タクシー5分