瀬戸内海のほぼ中央にあり、目の前には多島美が広がる愛媛県今治市。今治港に近く、今治駅からもタクシーで10分ほどの繁華街に店を構えるのが日本料理店『しの田』。大将の篠田 悠介(しのだ ゆうすけ)氏が地元愛媛の食材から生み出す独創的な料理を目指して、県内外から食通たちが足を運ぶ。
篠田氏の食材との向き合い方は料理人というより、生産者の目線。例えば魚介は、今治の人気漁師である藤本 純一氏と、血抜きの量から温度帯の調整までを掘り下げる。大三島のもり自然農家森聡氏とは、豆は種の品種や収穫のタイミングまでを突き詰める。季節炊き込みご飯で使うトウモロコシは、TETSUJIN農園の新居田 裕人氏によるもの。うま味が最高点に達するとされる日の出前に収穫するなどして、自身が思い描く料理の一皿一皿の完成度を高めていく。
食前酒から始まるおまかせコースは、デザートまで10品前後。炭火を用いる鮎の塩焼きは「どこよりも美味しく焼けていると思う」と胸を張り、8月中旬からの「ピーマンとちりめん山椒ご飯」にはカリフォルニアワンダーという希少なピーマンを使うなど、『しの田』自慢の品書きが並ぶ。また手の込んだ味付けはせず、いたってシンプルにむしろ素材の組み合わせでうま味を表現していくのが特徴だ。もちろん手間暇は惜しまず、デザートもお客様の目の前で作っていく。
ビールは、日本酒蔵が造る愛媛県第一号の地ビール「梅錦ビール」を用意。日本酒は、愛媛県の飲食店限定のものを酒米のセレクトから関わってタンク1本買いする、石鎚酒造「純米大吟醸 愛」を常時置く。ワインも数多くあり、予約状況によっては、マグナムボトルを開けてグラスで提供するなどドリンクメニューにもこだわりが詰まる。
掛け軸、絵画などで季節感を醸し出す店内は、カウンター5席。今治のストーリーが描かれたオリジナルの碗は今治・桜井漆器のもの。酒器は地元の吹きガラス作家・梶川 泰臣氏によるガラスの酒器や、地元作家・市野 耕氏、石井 桃子氏による器が篠田氏の料理を彩る。愛媛の今治市だからこそ堪能できる『しの田』の料理を、家族や友人、同僚やカップルなどで楽しまれてはいかがだろうか。
■アクセス
今治駅西口よりタクシーで10分