北アルプスのふもとに広がる信州松本。国宝・松本城の城下町松本市の名門商家、平林家により建築された『光屋』は、松本駅から徒歩15分(車で5分)の善光寺通り沿いに築約140年になる店舗を構える。建物は国の登録有形文化財に登録されており、漆喰の蔵をリノベーションして造られたフレンチの『ニシ』は、日本料理店の『ヒガシ』とともに、ひとつの敷地内に中庭を挟んで向かい合うユニークなつくりだ。また『ヒカリヤニシ』は、日本国内では10軒ほどしかない「ルレ・エ・シャトー」に加盟している。
ダイニングは蔵の2階。最も高いところで5mはあろうかという天井の広々とした空間は、白漆喰の白壁と太い梁のコントラストが、米蔵だった当時をしのばせる。
シェフ田邉 真宏(たなべ・まさひろ)氏は宇都宮『オーベルジュ』で音羽和紀氏に師事。音羽氏は地産地消を提唱するシェフの先駆けともいえる存在で、その薫陶を受けた田邉氏は、料理の基本的精神として、地元でとれた新鮮な農産物を料理に生かす大切さを学んだ。それが現在の『ヒカリヤニシ』の、地産地消をベースにしたウェルネスガストロノミー(美食を通じてより良く生きようとする)という考え方につながっている。自社の畑で50種程度の野菜を育て、信州の生産者と密接につながり合うことで、新たな料理のインスピレーションが生まれる。長野・天龍村の保存食柚餅子(ゆべし)を用いるのもそのひとつで、年に数百個しか作られていない貴重な食材を肉料理のソースに溶かし込むことで、この土地で日々信州食材と向き合う田邉氏にしか作れない料理が生まれた。田邉氏は2023年に、農林水産省の料理人顕彰制度「料理マスターズ」にてブロンズ賞を受賞している。
料理に合わせるワインはフランス、イタリア、チリなど幅広く所蔵。地元信州のワインもそろえており、信州ワインペアリングも注文で対応可能。ノンアルコールは、敷地内で収穫するザクロのシロップのドリンクなど自家製のドリンクも。ノンアルコールワインでのペアリングも可能だ。
ダイニングは22席。半個室が2名、4名、8名で3室。デートや結婚記念日、誕生日などのお祝いごとに多く利用されている。また、松本観光のメインイベントとして訪問するゲストも多い。お子様はダイニングにて大人のメニューを召し上がれる小学校中学年以上のお子様が対象。個室の空きがある場合、小さなお子様でも来店可能だ。海外ゲストのためには英語での説明が可能で、メニューやワインリストも英語表記のものを用意している。
松本市内の名所ともいえる貴重な建物である『ヒカリヤニシ』で、信州の豊かな風土に育まれた食材から生まれるドラマを是非体験していただきたい。
■アクセス
JR篠ノ井線,大糸線、松本電鉄上高地線 松本駅 お城口より徒歩にて20分