大阪にいながらにして、金沢の料理が楽しめる店がある。大阪メトロ千里線 天神橋筋六丁目駅より徒歩5分、のどかな住宅街の中に突然、端正な日本料理店の構えをした一角があらわれる。『東茶屋なかむら』の店名を記した小さな明かりが玄関にかかげられているのが目印だ。
『東茶屋なかむら』は2019年オープン。大将は石川県金沢出身の中村学(なかむら まなぶ)氏。神戸三宮『料理屋 植むら』、大阪『老松 喜多川』で修業後、独立した。
店名は金沢の「ひがし茶屋街」にちなむ。金沢文化を代表する、美しい出格子と石畳が続く茶屋街を名前に付けたところから、中村氏の金沢への思いが伝わる。
料理はおまかせで、中村氏の故郷・金沢の食材が全体の9割を占める。トリ貝、アワビ、岩ガキなどの新鮮な魚介類は、金沢で鮮魚店を営む中村氏の知人ほか、中村氏が信頼する故郷の人々から毎日店に届けられる。食材の良さには絶対の自信をもつ中村氏は、料理もその食材の良さをなるべくそのままゲストに手渡せるよう、シンプルに引き算の料理を心がけている。だしは福井の奥井海生堂より、昆布・利尻の香深(かふか)産の昆布やカツオ節、マグロ節をぜいたくに用いている。
ドリンクは日本酒を料理に合わせて懇意の販売店に選んでもらい、常時20種類ほどそろえている。ワインもシャンパーニュ、白ワインはボトル、グラスも用意。赤ワインはボトルのみで対応している。依頼すればペアリングも可能だ。食器や酒器はオールドバカラなど、骨董的価値のあるものを多くそろえている。
店内はカウンター9席、完全個室6名。それぞれ部屋が分かれているので、カウンターを通らず個室に行くことができ、お手洗いも2つあることから、ゲストのプライバシーは最大限に保たれている。ゲストはご夫婦が多く、また、美食の集まりも多い。まずはカウンターに座って、中村氏が繰り出す料理の真髄を味わっていただきたい。
※世界的グルメガイド京都・大阪 2023年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
阪急千里線 天神橋筋六丁目駅, 大阪市営地下鉄谷町線 天神橋筋六丁目駅, 大阪市営地下鉄堺筋線 天神橋筋六丁目駅 徒歩5分