東京・有楽町線「麹町駅」から徒歩1分。ビルの地下1階に暖簾を掲げる『懐石 山よし(かいせき やまよし)』は、大将・山下和嘉(やました かずよし)氏が女将と二人三脚で店を切盛りする。
築地の懐石料理店で10年修業をした山下大将は、海外経験を積むためアメリカへ。多くの著名人が愛するニューヨークの高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア」内にあった日本料理店『稲ぎく』で7年、サンディエゴの支店で3年間料理長を務めた。帰国後は、15年間茶懐石のケータリングを行ない、2017年に『懐石 山よし』を開店。近くには表千家の東京稽古場があり、茶懐石のケータリングにはうってつけの場所である。茶道の先生方も、足しげく店に通う。
山下大将が「体に良いものを意識している」茶懐石を礎とした料理は、おもてなしの心がこもったコース。はじめに供される「四つ椀」は本来、炊きたてのご飯、味噌汁、季節の向付を膳で出すが、『懐石 山よし』ではご飯をアレンジし、握り鮨や細工鮨にするのが粋。味噌汁は、春は合わせ味噌、夏は赤味噌、冬は白味噌と季節によって使い分け、だしには北海道・羅臼の昆布と鹿児島・指宿のマグロ節を使用。提供30分前にひくこだわりが、舌の肥えた名人たちをも唸らせる。
利き酒師の資格を持つ大将オススメの日本酒は、山口「防鳥鶴」の純米酒。酒づくりの時期は、「防鳥鶴」の仕込み水を和らぎ水として出すこともある。ほか、広島「寳劔(ほうけん)」、三重「作(ざく)」、秋田「雪の茅舎」など7〜8種類を常時そろえている。ワインは白のみで、シャブリ、泡、ポルトガルの3種を用意。
カウンターの掛け軸は月替わり。夏は団扇の器で前菜を提供するなど、器へのこだわりも強い。魯山人の器、千家十職の一つである永樂家や清水六兵衛の京焼、中里太郎右衛門の唐津焼きや、輪島塗の漆器など、茶席のような“しつらえ”を楽しめるのも『懐石 山よし』の醍醐味だ。6席のカウンターと、最大8名の個室のみ。たとえば、結婚記念日や大事な接待など、人生のここぞという場面で大切な人と過ごしていただきたい。
■アクセス
東京メトロ有楽町線「麹町駅」4番出口より徒歩2分